内容説明
夏休暇も間近なある日、湾岸校に通う温は、ルビと名乗る少年から「契約」をもちかけられる。無口な少年と、手癖のわるい女の子、二つの人格をそなえたルビを、離れて暮らす母は「あなたの弟よ」というのだが―。生殖医療の発展した近未来を舞台に、人をこの世につなぎとめる愛、血脈を越える絆を描き出す傑作長篇。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
1988年「少年アリス」で第25回文芸賞を受賞
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感想・レビュー
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優希
84
ねっとりとした重い空気が漂っていました。両性具有、ホモセクシャル、性一性障害などが複雑に絡み合って生まれる世界は混沌そのものでした。男が女で女が男という突飛な設定が性別を超えた近未来を感じます。性別の曖昧さや性表現の自由さが強く、透明感のある幻想的な世界観は感じられません。ドロドロしたものを全て閉じ込めた閉塞的な息苦しさがあります。それでもこの空気に何処か清涼感を感じずにはいられません。2015/10/17
巨峰
65
近未来SF的ジェンダー小説。生殖医療の進展により自らの性別意識に混乱を生じる人たち。自分の性に違和感を覚えている人には響くかもしれない。残念ながら?あまり響くところは無かったので、表面上をなぞるように読了してしまった。2016/09/22
honoka
38
AVITASC-1?これSF?主人公の温(ハル)をはじめ美形男子ばかり出てきてニアかな?いやガッツリか?と思うと肩透かしなのかもう読めば読むほど混乱。一読で解読できた読者様は尊敬します。魅力的なお話と登場人物なので再読箱へ。2015/09/29
coco夏ko10角
29
正直よくわからなかった、相関図は多分描けてる…と思うんだけど…。何が分かってないんだろう…。表面しか見えてないんだろうな。2016/07/21
エドワード
24
親子、夫婦、恋愛、性行為、生殖。それぞれが全く無関係に行われてよいことを自由と呼ぶならば、究極の自由な世界を描いた作品といえよう。そこは私たちの住む日本のパラレルワールド。裕福な医師の家庭に暮らす姉弟、父母、祖母、叔母。謎の獣医師。みな美しく聡明だ。しかし己の欲するがままに行動する自由があることと幸福感ともまた無関係である。壁があるから人は壁を乗り越える喜びを得る。ABITAS-C1という若き新人類たち。萩尾望都や竹宮恵子の漫画を彷彿とさせる懐かしさ。またまたSF漫画の世界に入り込んでしまったよ。2016/01/10