内容説明
二十年前の「事件」を暴く脅迫状を受け取った一カ月後、院長は心室細動を起こし急死した。「事件」に関与したのは院長、婦長、看護婦、現在医学部助教授の上原。四週間後婦長が死に、上原にも脅迫状が…。過去の罪に怯え、破滅へと向かう男のリアルな恐怖を描く第15回サントリーミステリー大賞受賞作。
著者等紹介
結城五郎[ユウキゴロウ]
昭和18(1943)年、東京生まれ。42年、千葉大学医学部卒業。53年から千葉市にて内科医院を開業。診療のかたわら小説を書きはじめ、平成5年、「その夏の終わりに」(架空社刊)で第2回小谷剛文学賞を受賞。平成10年、「心室細動」で第15回サントリーミステリー大賞を受賞
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感想・レビュー
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とくけんちょ
52
過ちを揉み消そうとして人の道を踏み外した者たちの懺悔と愛する者の命を蹂躙された者たちの復仇と。物語は一本道ではあるものの、それぞれの想いが交錯し、先の見えない展開。胸が高鳴るほどではないが、良作であることは間違いない。誰が誰を何のために殺すのか、しっかりミステリーとして最後まで楽しめた。最後に笑うのは誰であって欲しいのか、それによっていく通りにも楽しめる。2020/03/20
James Hayashi
24
サントリーミステリー大賞受賞作。医業が本業の著者が描いた医療過誤から脅迫へのミステリー。悪くはないが面白みが伝わってこなかった。事件から20年という日々が過ぎ、時効も成立しているからか緊迫感がなく、漠然と誰が何を目的としての犯行かという視点のみで捉えられるので。2019/07/05
crazy cool joe
7
昭和な感じで若干古さを感じます。一人の女性が壊れていく感じが怖い。結末が最後まで分からず楽しく読めた。面白かった!2015/12/07
Mark
2
日本人作家の医療系ミステリーを初めて読んだ。体温のところは、読者としては「あっ!まずいっ!」と一緒になって焦ったと同時に「医者だったら当然気付いてるはずだろ?」とも思ったが、それも登場人物達のテンパった状態を表してるというところか。前半にいろいろ伏線が張られていく中、読む側もいろいろ推理するがなかなか先の展開が読めず、ミステリーとしてはよく出来てると思った。医局や学会がうまくちりばめられている点は、さすが医学部卒。読者がいろいろ想像できる結末というのもいい感じだった。2013/03/19
keshikun
2
「あの時ああすればきっと」みたいな後悔がいっぱい。注射するときや真美にお見舞いに行かなかったときなど、人生の岐路を感じました。2012/04/08
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