文春文庫
冷たい誘惑

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 301p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167652029
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「私は拳銃を構える。恐怖にひきつった顔を思い描くだけで、胸のもやもやが晴れていく」―。久しぶりの同窓会で、歌舞伎町に流れ、家出少女から受け取った包みの中身はなんと拳銃。なぜか主婦は警察に届けない。日常に倦んだ市井の人々を狂気に変えていくコルトの魔力。巧みな構成で魅了する連作短篇集。

著者等紹介

乃南アサ[ノナミアサ]
1960年東京生まれ。早稲田大学社会科学部中退後、広告代理店勤務を経て、88年、第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となった「幸福な朝食」でデビュー。96年「凍える牙」で第115回直木賞受賞。主な作品に「6月19日の花嫁」「パラダイス・サーティー」「ドラマチック チルドレン」「花散る頃の殺人」「躯」「鎖」「涙」など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

99
久しくご無沙汰している乃南ミステリーが読みたくなった。7作目の今作は、「拳銃」をキーワードにしたちょっぴり怖い連作短篇である。最後の【置きみやげ】が好きだ。父親は横須賀に駐留していたアメリカ兵だと聞いているが、その顔も今の消息も知らない、母は19歳のときに私を身ごもった。時に「生まれてこなければよかったのに…」と無力感に襲われることもあった。母の愚行を逆手にして、しっかり者に育った娘が、間もなく結婚することに……。中年の女たちの嫉妬と打算を見事に抉り出した乃南ミステリーは面白い。2021/05/16

mazda

38
拳銃の持ち主が、時間を逆戻りしてわかっていく構成。構成そのものはとても面白かったが、話の中身はイマイチだったかな…?ちょっと期待しすぎたのかも知れませんが、乃南さんの本は引き続き読みたいと思います。2014/05/23

けいこ

37
一丁の拳銃にまつわる連作短編集。拳銃の文字を見た瞬間、20年くらい前に既読だった事に気付く(笑)ひょんな事から手にしてしまう一丁の拳銃。なぜ自分は拳銃を手にしているのか、、。なんとなく上手くいかない毎日に、拳銃という非現実的な物を手にした事で揺れ動く心理描写が乃南さんらしくてうまい。自分がその主人公だったらどうするか、、いや、普通に考えたら警察に届けるけど、そうはしない主人公達のハラハラ、ドキドキの行動を面白く見届けました。2021/04/01

巨峰

34
一挺の拳銃が何人もの人を転々としていく連作は、古今東西あまたあって珍しくはないけど、それが逆回転するのは新しい。中身は、乃南さんらしい世話物でした。物語に拳銃がでてきたら必ず発砲しないといけないルールがあるといいます。この小説がどうだったのか。それはネタバレになるので言いませんよ(笑)2013/10/13

MINA

30
多分、単行本時の『引き金の履歴』てタイトルの時に読んだ記憶が。全ての短編の主人公の気持ちがひしひしと伝わってくるようだった。<母の秘密>では保守的な夫に腹が立ったし、<野良猫>では…この話が一番好き。10代の女の子が鬱屈とした気持ちを抱え、彷徨う精神状態はすごくよく分かる。でもその思いの発散場所としては歌舞伎町での出来事は高い授業料だったみたいだな。社会の表だろうが裏だろうがある種の覚悟と筋が無くちゃ痛い目見るのはどこでも同じなのではないだろうか。<なかないで>の信太の社会を批判する眼には激しく同意だわw2014/03/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/524672
  • ご注意事項