内容説明
三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。そんな男のもとに、十五夜の晩、偶然、転がり込んだ美しい女―出会うはずのない二人が出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。表題作ほか、子供のころ、男と逃げた母親との再会を描く「ピエタ」など全七篇の短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
237
やはり表題作がピカイチでしたね。7編からなる短編集で、どの話も’浅田節’が全開です。ちょっと悲しく、少しおかしく、そしてたっぷり感動できるステキな話をこんなに読めて贅沢だなぁと思います。個人的には『花や今宵』が好きな展開でした。素直になりたいけど、ついつい小さな意地が邪魔をしてしまい、なかなかスパッとココロが開けない男女の絶妙な間が良かったです。『銀色〜』のオトコくさいハードボイルド感あふれる作品も読み応えがありました。『瑠璃想』の二人のやりとりも切なさや哀愁が滲み出ていて、本当に素晴らしかったです。2018/05/02
ehirano1
170
表題作について。この方の作品はどうしてこうも心の一番内側にあるドアを容易に開けて入って来るのかと感服するばかりです。いいねぇ、こういうの。なんだか一日の疲れがスパッと取れて、今日あった嫌なこともスパっと無かったことになる気分です。2023/03/22
HIRO1970
144
⭐️⭐️⭐️浅田さんが直木賞を受賞した前後に書いた7作品が載った短編集。もうすぐ20年経ちますが、やはりどれも良い作品ばかりでまるでハズレが無いのは毎回ながら驚く程です。また短編の舞台や背景から既読の長編の習作やスピンアウトと思われる作品も幾つか見受けられ、あの長編大作が先かそれともこちらが先か、いやいや続編用の習作かも知れない等と勝手にいろいろ想像しながら楽しみました。浅田さんは沢山作品があるのでまだまだ数年は読み続ける幸福を甘受しています。オススメです。2015/05/23
Take@磨穿鉄靴
124
短編でどの話も魅力的な話ってありそうでなかなか無いと思う。これはどの話も好み。土曜の夜、真夜中なんかにローカル番組の深夜映画で流れてる感じ。もちろんこれは賛美の文章。なんだろ。少し酔っぱらって観る休日前の深夜映画ってかなり贅沢な時間だよね。まあ人それぞれか。それほど期待してなかったけど思いの外、引き込まれた。また読むと思う。★★★★☆2018/04/25
Atsushi
123
恋にまつわる七話からなる短編集。「一気読みではなく1話ずつ大事に読んでみましょう。」というアドバイスを頂いたので従ってみた。どの物語も何とも哀しく切ない読後感。表題作と「ピエタ」は涙腺がやばかった。涙したい方にはお薦めかも。2017/12/05