出版社内容情報
"琵琶湖畔の仙人"が中国文学で培った蘊蓄を刃に大新聞をグサリ。本の愛で方貶し方を伝授して講談社エッセイ賞を受けた傑作評論集
内容説明
東アジアの国名表記にメスを入れ、わが国の外交にも影響を与えた痛快篇「『支那』はわるいことばだろうか」をはじめ、狩野亨吉、江馬修、李白と杜甫らを論じた傑作人物エッセイ、「書評十番勝負」「新聞醜悪録」「湖辺漫筆」など、すべての本好きに捧げる名篇を収めて第11回講談社エッセイ賞を受賞した快心の評論集。
目次
1 うまいものあり、重箱のスミ
2 新聞醜悪録
3 書評十番勝負
4 「支那」はわるいことばだろうか
5 ネアカ李白とネクラ杜甫
6 なごやかなる修羅場
7 湖辺漫筆
8 回や其の楽を改めず
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
107
高島さんのこの本は何度も読み返しています。中国とくに漢文については造詣が深く私にとっては参考になります。書評については毒舌というか言いたいことをいっているので、またそれが正鵠を得ているケースが多いと感じています。好きな人と嫌いな人にわかれる所以でしょうね。2017/08/20
パフちゃん@かのん変更
51
当たり前だけれど、文章がうまくて知識が豊富。20年も前の本ですが面白い。東大経済学部を出て銀行に5年勤めた後、東大大学院で中国文学を学ぶ。漢字についての造詣が深い。歯に衣着せずズバズバ言うのも小気味いい。書評に出ていた養老先生の『カミとヒトの解剖学』を読んでみたい。確定申告の話も面白かった。しかし、収入195万円に経費276万円ってどうなの。主な経費は本代160万円。源泉徴収された所得税は全額戻ってきたそうです。2017/09/16
まこみや
18
昨日の新聞でお亡くなりになったことを知りました。1995年2月5日発行の大和書房初版でこの本を手にしてから高島さんの著作をずぅーと愛読してきました。ご逝去を知り、たまらず本棚から取り出していくつかの文章を読み返しました。初めて読んだときと同様に、とてもよい気持ちになりました。ご本を通じてたくさんのことを教えていただきありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。2021/04/07
白義
14
言葉にも絶対音感のようなものがあるとして、この高島俊男というおじいさんはまさにそうした絶対言感のもちぬしだろう。該博な知識をもとに言葉の誤用誤解をからく指摘して、その本人の文章もまたみごと正確にかりこまれた名文と来ている。風聞にきいたとおり「ネアカ李白とネクラ杜甫」が珠玉の逸品だ。性格作風どこまでも対照的なふたりの詩人の友情、その詩の魅力をあますとこなくつたえてやまない。支那呼称問題についても、支那と中国の語源や歴史をくわしくあきらかにしていて勉強になった。また、じつは言感だけでなく声感もすごい2012/12/15
Shin
13
白義さんの感想の「絶対言感」という言葉に惹かれて読んでみたけど本当にその通りだった(白義さん、ありがとう)。久しぶりに、鞄から取り出してページを開くのがモドカシイくらいに続きを読むのが楽しみ(だけど読み進んでページが減っていくのが残念)なエッセイ。「ネアカ李白とネクラ杜甫」などは読んでいて声を出して笑ってしまうほど愉快な筆致ながら、読後驚くほどに漢詩の世界の彩りが豊かに見えるようになるという得難い漢詩入門にもなっている。浩瀚なる読書量と教養の深さをこういう形で表現できる知識人を心から尊敬する。2012/12/22