文春文庫<br> 石の来歴

文春文庫
石の来歴

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167580018
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

レイテで戦友から聞かされた言葉によって岩石に魅せられた男に訪れる苦難。夢と現が交錯する中で妻は狂気に誘われ、子は死に奔る

内容説明

「石には宇宙が刻印されている」レイテで戦友から聞かされた言葉によって、岩石に魅せられた男。戦後、彼に訪れる苦難とは!?現在と過去、夢と現が交錯するなかで、妻は狂気にいざなわれ、子は死にもてあそばれる。華麗にしてペーソス溢れる文体で、時と心との織りなす迷宮を描ききる、気鋭の芥川賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

176
戦時中、レイテの暗い洞窟での出来事と、石の魅力に取りつかれた戦後の生活が、時折幻想を交えて交錯する。人間の生死とは無関係の石の歴史と、生死に重大な影響を与える人間の歴史。その交え方がユニーク。浮世離れして石だけに興味を持つ人を描いたのかと思っていたら過酷な戦場の場面に驚愕した。血が通い、生きるために殺し合うことも辞さない理不尽で儚い人間の生きざまと、動じないものの象徴でもある石が象徴的に対比される。ラストに少し希望を感じた。2021/03/22

遥かなる想い

160
第110回(平成5年度下半期) 芥川賞受賞。 「石」に憑かれた男、真名瀬を 描く。読んでいてなぜか、 宮城谷昌光の「漢字」への 拘りを感じていた。 本がもたらす静逸さの ようなものが、そう感じさせた のだろうか。だが、物語は 石に憑かれた男の家族の 悲劇を平行して描く。 家族を破壊してまで、憑かれた 石の魅力とは何だったのか。 一気に読ませる筆力のような ものを感じながら、昔ながらの 小説を読んでいる…そんな 気がする物語だった。 2014/09/02

ヴェネツィア

120
1993年下半期芥川賞受賞作。主人公の戦時中のレイテ島のジャングルでの過酷な体験と、現在の石の採集とは洞窟という1点でのみ繋がりを持っている。イメージの上からはわからなくもないが、小説としての必然性という意味では疑問なしともしない。過去、石とともにある幸福な現在、そしてその後―物語は3つの時間軸からなるが、それらは究極的には「虚しさ」に収斂していく。ここに展開されるのは、独特の暗さを持った世界であり、また物語の推進力も大きい。ただ、ともすれば通俗的なものに流れかねない危うさをも併せ持っているだろう。2014/01/14

kaizen@名古屋de朝活読書会

108
芥川賞】石。過去と現在。来歴。芥川賞は暗い話が多いのだろうか。すごく古い話なのに、読んだ当時としては、最近書かれていたことが不思議だったかも。2014/01/27

はらぺこ

40
表題作『石の来歴』は芥川賞受賞作。石に何の興味もないけど飽きずに読めたし、難解な作品でもなかったので読み易かった。 『三つ目の鯰』は芥川賞候補作やったらしい。こっちの方が『石の来歴』より好き。 他の作品も読んでみたくなりました。2015/12/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/564504
  • ご注意事項