出版社内容情報
心中事件でなくなった花魁の名を継いだ幻太夫は三菱の総帥を別の遊廓の遊女に奪われて、自分の小指を切り落として岩崎家に届けた
内容説明
幻太夫が心中事件でなくなった花魁の源氏名の二代目を名のったのはあまねく知れ渡った名を継いで大きなツキを呼びたかったからである。財閥の総帥と恋仲になる幸運も束の間、男を別の女に奪われた幻太夫は切り落とした小指を香水箱に入れて、男に送り届ける。吉原・根津の遊廓でしたたかに生きた女性を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
7
6話の短編集。表題作は明治9年から横浜~吉原~根津と遊里を渡り歩く女の哀しい物語かと思っていたら、その女田鶴のバイタリティーが凄まじかった。「出陣」「疑惑」は杉本さんには珍しい戦国物で、信玄との三方ヶ原の戦いから秀吉との小牧・長久手の戦いでの家康の心の裡を描いた連作のような2編。ただこれまでの杉本作品のようには楽しめませんでした。2019/12/17
あいちょ。
3
図書館。 短編集。 ※妖花 ・朱唇 ※藤の蔓 ・出陣 ・疑惑 ※げんまん2024/03/17
みっくん
1
主人公が男性か女性か、実在の人か否かに関係なく、ちょっと隠花植物とでも言いたい欲は絡む女性が出てくる短編集。 読みやすくて面白いですが、読後感は爽快とは言い難い。2022/07/05