内容説明
真珠のように美しく気高い、男爵の娘・瑠璃子は、子爵の息子・直也と潔い交際をしていた。が、家の借金と名誉のため、成金である勝平の妻に。体を許さぬうちに勝平も死に、未亡人となった瑠璃子。サロンに集う男たちを弄び、孔雀のように嫣然と微笑む妖婦と化した彼女の心の内とは。話題騒然のTVドラマの原作。
著者等紹介
菊池寛[キクチカン]
明治21(1888)年、香川県高松市に生れる。本名は寛(ひろし)。一高中退後、大正2年、京都帝大英文科に入学。第三次、第四次『新思潮』に参加、文壇にデビューする。『父帰る』『忠直卿行状記』『恩讐の彼方に』『藤十郎の恋』など戯曲、小説の名作を次々と発表。大正12年には「文芸春秋」を創刊した。昭和10年、芥川賞、直木賞を創設し、後進の育成にも努力を惜しまなかった。11年、文芸家協会初代会長となる。23年、狭心症にて急逝。行年60
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感想・レビュー
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ykmmr (^_^)
116
この物語を、日本版(菊池版)『椿姫』と思い、読み始めたが、本当に似たり寄ったりと思える。『真珠夫人』瑠璃子はその高貴な姿と、時に男の意表を突き、彼らを糸で束ねて、真珠として自分を飾る訳だけど…。そして意地で貞操なども貫き、母娘という…何というか泥臭い三角関係、そして最後の悲劇…。『椿姫』と同じように異性に囲まれた女性のロマンが味わえる話である。やはり時代背景は大分古いし、ページ数も多いが、読みやすく読ませてくれちゃう。最後の川端の解説で、菊池寛という人物の『こだわり』。やっぱりな…と自分は思った。2022/02/28
青蓮
113
約600頁に及ぶ大作ですが、とても面白く読みました。類まれなる美貌と鋭い知性を武器に妖婦と化し、復讐のために男を翻弄する瑠璃子。これだけだと何だか酷い女性に思えますが、その内実はなかなか苦しく切ないものがあります。「男性本位の道徳に妾は一身を賭しても反抗してみたいと思っている」という瑠璃子の言葉は、本書が書かれた当時は新鮮な響きと大きな意味を持っていたように思えます。作中の文学議談も興味深い。ラストの瑠璃子と直也の邂逅は悲しくも美しく、最後まで操を立て通した彼女の強さと彼への愛の深さに心打たれました。2018/01/08
ばう
87
★★★真珠のように美しく賢く誇り高い瑠璃子は婚約者が怒らせた成金のもとへ父の借金のかたに嫁いでいかねばならなくなるが体を許さぬうちに未亡人となる。その後は自分のサロンに多くの男を侍らせ、さながら妖婦のように生きていくが彼女の本心は…。大正時代に新聞小説として連載されたらしいけれど今読んでも引き込まれるストーリーで、当時の読者は尚更のこと毎朝新聞を読むのが楽しみだったでしょうね。576ページと中々の分量だけれど一気読みでした。解説は川端康成。2023/01/31
Willie the Wildcat
86
清廉さと狡猾さに垣間見る生き様と、時勢を反映した物心両面での格差。加えて、当時の男尊女卑の風潮。信一郎の心情描写が、いみじくもこれらの世相を暗喩。対峙する瑠璃子。方法論の妥当性の問題ではなく、世の中の矛盾への精一杯の問いかけ!心の支えは、胸に秘めた”一枚の写真”であり、これが表題の真珠の輝きである。一方、踏まえて現代の世相を見渡すと、上述の”矛盾”が解消されたのかは、甚だ疑問。正直者が馬鹿を見ることなく、努力が報われる世の中でありたいものだと感じる。2018/06/03
優希
85
昼のメロドラマのような雰囲気があります。潔い交際をしていた瑠璃子が借金と名誉のために成金の勝平の妻になるものの、やがて未亡人となってしまいます。そこからの悪女っぷりがたまらなく官能的でした。サロンに集まる男たちを弄び、悠然と微笑む姿は妖女のようですらありました。死にまで至らせた男までいるとは驚かされます。しかし、エロティックな作品でありながら、誰も性行為はおろかキスすらしていないというのが驚きです。作中「処女」という言葉が多く出てくるのは少し食傷気味でした。インテリ女の奔放さは世間を騒がせたことでしょう。2015/04/27