内容説明
祖国とは国語である。明治大正は新旧の思想風俗言語が衝突して、新が旧に勝った時代である。戦前早く漢字の知識は減りつつあったが、戦後それは限りなく無に近くなった。日本人は文語文を捨てて何を失ったか。樋口一葉、佐藤春夫、中島敦たちの諸家の名文を引き、失った父祖の語彙を枚挙し、現代口語文の欠点を衝く。
目次
文語文
兆民先生
聖書
二葉亭四迷の思い出
一葉の日記
萩原朔太郎
佐藤春夫
訳詩集
字引
中島敦〔ほか〕
著者等紹介
山本夏彦[ヤマモトナツヒコ]
大正4(1915)年、東京下谷根岸に生れる。24歳のとき名作「年を歴た鰐の話」の翻訳を『中央公論』に発表。戦後『室内』を創刊。昭和59年に菊池寛賞を、平成2年に「無想庵物語」(文芸春秋)で読売文学賞を受賞。平成14年10月23日逝去
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