内容説明
2001年、世界は物情騒然となった。ニューヨークでは2本のタワーが崩壊し、9.11の米同時多発テロがあった年として記憶される―その一年を書きとめる、シリーズ第4弾。支持率8割を誇る小泉総理、狂牛病問題、猛暑にうだる夏、住みにくいとは思っていた世の中だが、古今亭志ん朝さんの逝去が追い討ちをかける。
目次
いつか見た正月
正月テレビの王道=「宮本武蔵」
生者と死者
雪国からの眺め
喜劇人と肉体
小泉今日子を追いかけて
伊東四朗&小松政夫のヴォードヴィル
英会話をあきらめるか?
二本の「姿三四郎」
肉ジャガは、本当にお袋の味か?〔ほか〕
著者等紹介
小林信彦[コバヤシノブヒコ]
昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文科卒業。翻訳雑誌編集長から作家になる
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感想・レビュー
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もりくに
37
少しくたびれたので、昔読んだ本からピックアップ。脳梗塞を乗り越えて書き続けられている「本音を申せば」第4集。2001年(20年近く前!)のあれこれなので、正直「目休め」程度に思って読んだが、とても面白かった。タイトル同様、「9・11」に代表される文字通りの「物情騒然」の年。あとがきで、アメリカという国が荒廃の道を歩き始めた「9・11」よりも、古今亭志ん朝さんの死(10・1)の方が、はるかに身に染みたと。それは、当時の多くのマスコミが伝えた「江戸落語の名人の死」ではなく、「(江戸)言葉文化」の終わりだから。2018/11/01
えか
34
タイトルの四字熟語を略せば、「物騒」。2001年、そう、9.11がアメリカであり、ブッシュはアフガンへ進行、戦争となる、日本は、支持率八割を越える小泉政権が、早々とこれを支持、PKOの名の下に、戦争に参加した。野茂やイチローの活躍により、大リーグがスポーツニュースのトップに躍り出、国内では、茹だるような暑い夏、『千と千尋…』の公開。そして、古今亭志ん朝の死。どことなく、今年の夏と、置き換えられる話題ばかりであり、そこはかとなく、進歩しない人類の記録にも思えてくる。つまり、現在も「物騒」なのである。2023/09/21
いちはじめ
2
小林信彦の連載コラム集、2001年版。毎年、どんどん世の中が悪くなってきたと言い続けてすでに四年目。うーむ2005/04/13