文春文庫
月山・鳥海山

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  • サイズ 文庫判/ページ数 366p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167223014
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

出羽の霊山・月山を背景に、閉ざされた山村で村人と暮しをともにする一人の男が知った比の世ならぬ幽冥の世界…芥川賞の表題作ほか姉妹篇「天沼」など七作を収録

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

252
第70回(1973年下半期)芥川賞受賞作。受賞時、森敦は61歳で、当時は最高齢での受賞だった(この記録はその後「abさんご」で受賞した75歳の黒田夏子に破られる)。月山の山懐、肘折の渓谷での半年が語られる。約40年前の作品とはいえ、この集落では明治の初め頃から時間が静止したままだとしか思えない。つまり、時間を超越したところに、しかし確かな空間としてそこにあるような小説だ。外界も語り手の内界も限りなく暗い。そして読者もまた、その閉塞した幽冥境の中に閉じ込められることになる。不思議な明るさをも伴いつつだが。2015/07/07

遥かなる想い

179
第70回(1973年)芥川賞。 出羽の庄内平野 月山界隈の風景を 描いた作品である。土俗的な味わいが 感じられる。 自然の長い描写と 東北弁が 印象的だが、 正直 淡々とし過ぎて、盛り上がりに欠ける 展開だった。2017/09/25

chantal(シャンタール)

85
まっさんのトーク集で知ったこの作品。「未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん」で始まり、「死の山」と言われる月山の破れ寺で、寺のじさまと過ごす日々。読んでいてとても不思議な気持ちになる。これはこの世の事なのか、あの世の事なのか?生者の話なのか死者の話なのか?一面の雪に覆われた世界、カンジキの音の木霊、燃えるような夕焼け。死して初めて生を知る。白い幻想の世界へ誘われるような気持ちがした。そして日本海からそのまま立ち上がったような鳥海山の美しさ。どうしても大山を思い出してしまう。山にはやはり、神が宿っているのだな。2021/01/27

hit4papa

59
ひとりの青年が、月山のふもとのあれ寺に寄寓した一冬の物語。月山は山形県の中央に位置する、出羽三山のひとつで山岳信仰の場です。ここで主人公が何を思うのか、は語られず、この地方の厳かともいうべき風景を、つづっていきます。村人たちとの酒盛りで、剥き出しの敵意に疎外感を覚える主人公。霊験あらたかなこの地方へ混入した世俗の異物...といったキレイ事ではありません。死者の赴く山「月山」。俗から切り離さるべき場所で、俗にまみれた営みが行われています。主人公の内面を文章でさらけ出さず、垣間見させてくれます。【芥川賞】2019/06/15

T2y@

27
実家の近県、山形の馴染みある方言。 ムラの閉鎖感や、風土の匂いを感じる。 が、読み進めるのに苦戦、合わなかった処はある。2014/12/23

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