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文春文庫
ヘル

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  • サイズ 文庫判/ページ数 213p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167181154
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ある日突然、「ヘル」に迷いこんだあなた。ここでは、あなたを殺した奴が平然と暮らしている。妻の不倫は続いてる。追っ手はどこまでもやって来る―。もう逃れるすべはない。あなたも「ヘル」の中で恐怖に震え続けるか、狂気で頭を破裂させるか、はたまた笑いすぎて頓死するか?さあ、どうする。

著者等紹介

筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年9月24日大阪府生れ。57年同志社大学文学部卒業。60年SF同人誌「NULL」を発行、処女作「お助け」が江戸川乱歩に認められデビュー。81年「虚人たち」で泉鏡花文学賞、87年「夢の木坂分岐点」で谷崎潤一郎賞、2000年「わたしのグランパ」で読売文学賞などを受賞。「この世にありえない虚構」を描く独創的、実験的な作品で常に日本文学をリードし刺激し続けてきた。93年教科書に採用された作品が抗議を受けたことをきっかけに断筆宣言、96年から執筆再開。また97年には俳優として本格デビュー、テレビ、映画、舞台などで活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

73
何だか混沌としていました。時間と人物が錯綜し、ごちゃごちゃとしているけれど、この破綻した世界がヘルなんですね。生と死、現実と地獄が曖昧になっていて、ここまで狂気を虚構を言語化できるのが筒井サンの凄いところだなと思わずにはいられません。後半の小気味良いリズムに乗って話が進むのが楽しかったです。意味はイマイチ分からなかったけれど、それなりに面白く読みました。2015/10/27

ねりわさび

49
30人の登場人物が僅か200ページの枠内で十重二十重に踊るがごとく躍動しながら死後の領域である不条理世界に惑乱されていく小説。舞台設定がわかりにくいのですが台詞回しが五七調に仕立てられており読みやすい。結局ヘルの正体がわからないままクローズするのでSF的な作品と言えるのかもしれません。お勧めは巻末にある、表紙を描いた横尾忠則氏との対談。大変興味深く読めました2021/01/11

GaGa

47
筒井康隆の未読本を古本屋で、しかも文庫で発見すると言うのは、自分も年をとったなとつくづく思う(若い頃は単行本が出た途端買っていた)また、面倒の事を始めたのかと思いきや、この作品は筒井SFの原点回帰ともいえるもので大いに楽しめた。どことなく懐かしさすら漂うスラップスティック。今でいうとこの短さが逆にいい。傑作!2012/08/23

チャーミー

26
ヘルと現世がごっちゃ混ぜになり変な脳内分泌物が溢れでそうになった。ここは死する人々の極楽浄土なのか。現実が地獄でヘルこそが中心に世界は廻っているんではないか。後半の五七調の文体ではグイグイとグルーヴを生み出しその世界を「ヘル」へと昇華していった。2019/04/23

TSUBASA

16
死んだ者が生きる「ヘル」。やくざであったが刺されて殺された勇三、勇三に幼い頃足を折られてその後中年になって交通事故で死んだ武、武に妻を寝取られ出張途中に航空機事故で死んだ泉などなどがヘルへ落ちる。殺し殺されの恨みつらみも無感覚になるこのヘルで彼らはどこへ向かうのか。生と死の境界を曖昧にし、さらには夢を媒介に現実と地獄との境界も曖昧にしてしまう。後半は加えて七五調で狂気にのめり込ませてしまう。こういう狂気と虚構を巧みに展開できる作家って筒井御大をおいて他にいないんじゃなかろうか。付録のインタビューも面白い。2014/09/07

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