内容説明
思考の達人・丸谷さんが「どうすればいい考えが浮かぶか」のテクニックを伝授。「仮説は大胆不敵に」「ひいきの学者をつくれ」「ホーム・グラウンドを持て」「文章は最後のマルまで考えて書け」…。究極の読書法、文章を書く極意、アイデアを生むコツが満載。レポートや論文を書く時に必携の名講義。
目次
1 思考の型の形成史
2 私の考え方を励ましてくれた三人
3 思考の準備
4 本を読むコツ
5 考えるコツ
6 書き方のコツ
著者等紹介
丸谷才一[マルヤサイイチ]
大正14(1925)年、山形県鶴岡に生れる。昭和25年、東京大学文学部英文科卒業。43年、「年の残り」で第59回芥川賞受賞。「笹まくら」「たった一人の反乱」「裏声で歌へ君が代」「女ざかり」など多くの小説がある。また60年、評論「忠臣蔵とは何か」で第38回野間文芸賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井月 奎(いづき けい)
33
丸谷才一は手練れの水先案内人なのですね。線香の煙すらゆらりともしない凪の海から出発して、いろいろの説明をまさに名人芸の話術でしてくれる。ふむふむ、わはは、と聞いているうちに船は沖にでて、波も高くなっているのですが、それは名人、気付かせないでずんずん進みます。読み疲れて一息つくときに、参考している本が普段手にとるのも怖気づくような本で、波高く、岸遠く沖にいることを知ります。それでも甲板の上は静かでして、丸谷才一の力量と思惑に驚いて感服させられます。思考は人の、人にしかできない最高の遊びなのかもしれません。2015/11/07
りえこ
31
とてもわかりやすく面白かったです。知らない事や気付いていなかった事がたくさん書いてありました。日本は本を読んではいけないという文化だったなんて、想像もしていませんでした。たくさん読書して、思考していきたいです。2017/09/25
チェ・ブンブン
31
今の若者は本を読まないと言っているが、昔は変な思想を入れないよう読書を禁じていたという項目。海外小説は訳者を変えて読めなど知識を入れたい人に目からウロコな本。それにしても、筆者の本を分解して読むスタイルは真似できないわw2014/04/07
ももたろう
29
衝撃的だったのは「現代日本文明は、レトリックを捨てた文明だ」という吉田秀和さんの言葉。例えば現代の白玉クリームあんみつは、昔ならば「夏の月」という比喩的な言葉で表していたという例から「現代は散文的な写実性で説明する時代」という思考を展開していたのは大いに学びになった。「分かりやすさ」が重視され、「比喩」や「言葉の奥にある深み」などがどんどん失われているのが現代だと思う。文学や詩が敬遠されるのはこのためだろう→2016/04/06
呼戯人
25
丸谷才一と言う人は、文章の名人なのだけれど、文章の名人ということは思考の名人でもあったのかということの確認ができる本です。この人のように深く広く本を読み、その話題の広さ、思考の幅、表現の巧みさに恐れ入るにはこの本を読むに限ります。戦争の時代の嫌な感じ、日本の小説の嫌がらせのような感じに反発を覚えて、英文学やその他外国の文学にのめり込んでゆく様子が書かれていて、今の私たちが嫌な時代を迎えてその自己嫌悪に似た嫌な感じをどう乗り越えてゆくのかという大問題を論じていて面白かった。2016/03/27