出版社内容情報
浅草のストリップ小屋の踊子に愡れた頭の弱い廃品回収業者イサムのユーモラスで悲しい恋を描いた表題作他。とにかくおかしくってちょっとシンミリする短篇を収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
剛腕伝説
19
小説と言うよりは恋愛劇、喜劇の脚本といった趣。ストリップ小屋の裏のバラックに住む少しおつむりの弱いイサム。春になると踊り子に恋をする。小道具の電話で「うんうん、明日仕事が早いから今日も会いに行けないや、悪いな。暖かくして寝るんだよ」等と一人芝居。やがて恋に破れいつものイサムに戻る。浅草のストリップ小屋を舞台にしたアンソロジー。可笑しくて切ない人間模様。2021/06/27
読書国の仮住まい
3
ストリップ劇場の進行役とストリップ嬢との恋愛『イサムよりよろしく』タイトルの妙。 かつて愛した女性の娘がストリップ嬢に『入歯の谷に灯ともす頃』娘が母親と刑事を合わせるために仕向ける。 香具師組の構成員が辞めようと申し出てくる『幻術師の妻』妻はそのために『人肌』脱ぐ。 米沢で行われる奇祭で使われる天狗の面が盗まれる『天狗の鼻』本物を見分ける方法。 不倫をしていた母親が許せず殺害しようとする娘『いけにえ』何とも皮肉な結末。 かつて踊り子をしていた弁当屋の女主人『仕出し屋マリア』再び舞台に上がるその理由とは。2021/04/18
pino
2
二十歳まえに読んだので、知ってはいけない大人の世界を垣間見たようで、ドキドキしました。踊り子さんの色香がただよってくるようでした。ある日、年配の男性と風俗系の話をしていたら「あんた若いのに、やたらストリップにくわしいねぇ」と言われたことを思い出しました。2012/03/01
らくだ
2
時代を感じさせるが、恋がしたくなる。古本だったけど、ページの欄外にメモ書きがしてあって、小説の中の店や当時の話が書いてあって、「これってモデルがいたのか？」と思いながら読んで、それも含めて面白かった。 一体だれのメモ何だろう。2010/10/29
大浦浩子
1
イサムのひたむきさや周囲の人たちの見守り姿勢が、なんかいいな。現代社会だと障害者や変質者でくくられて隔離されかねないイサムだけど、それを大らかに受け入れている雑多で混沌とした当時の社会が描かれている。2015/11/04
