内容説明
西郷に続いて官を辞した、もとの司法卿・江藤新平が、明治七年、突如佐賀で叛旗をひるがえした。この乱に素早く対処した大久保は首謀者の江藤を梟首に処すという実に苛酷な措置で決着をつける。これは、政府に背をむけて、隠然たる勢力を養い、独立国の様相を呈し始めている薩摩への、警告、あるいは挑戦であったであろうか。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみち1”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大佛次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受賞。平成8(1996)年没
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感想・レビュー
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Die-Go
138
再読。明治初期における「征韓論」から始まり西南戦争に至るまでの動乱の時代を描く。征韓論取り止めに不服を抱く江藤新平が反乱を起こすが、あえなく鎮圧されてしまう。そして、反征韓論派であったはずの大久保利通らが征台論を起こし、実行してしまう。なんとも迷走しているこの時期の明治政府であるが、それもこれも西郷隆盛を主謀とする私学校を中心とする薩摩士族への牽制とも妥協とも取れる行動である。五巻では如何に展開していくのか。★★★★☆2017/12/22
レアル
99
維新前の西郷は革命の主勢力だったが、維新後は藩という枠を超えた日本を覆うほどの巨大な像になっていく。西郷という一人の人間ではなく、その像に大久保は恐れた。佐賀の乱を起こした江藤を反乱罪で刑殺。そして西郷という固有名詞で象徴された不平士族団の新政府の不満をガス抜きさせる為に征台論と「征韓がダメで征台がOKなの?」と突っ込みたくなるような政策に出る。恐れられてるだけとはいい西郷も、そして政治の権力を握っている大久保も共に薩摩。薩摩の暴走はどこまで続くのか。。2015/02/12
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
91
薩摩に隠遁した西郷はまさに火薬庫の上に置かれた火打石。しかし、薩摩より先に江藤新平が佐賀の乱を起こす。これを鎮圧する大久保の取った手段はあまりにも厳しい。乱を一刻も早く鎮圧するためとは言え、一時的であるにせよ軍の統帥権だけでなく、司法権までも一個人に集約させる。この手法が、はるかのち、昭和の日本に悪影響を与えるとはその時思わなかったのだろう。2013/02/16
優希
86
西郷どんが薩摩に戻ってからの話が描かれます。西郷どんに続くようにもと司法卿・江藤新平が佐賀の乱を起こしたのが、政府に叛旗をひるがえしたと言っていいでしょう。苛酷な措置で決着をつけられますが、薩摩への警告のように思えました。そして征台論が唱えられる。征韓論は駄目なのに何故でしょうね。2019/01/24
やっちゃん
79
台湾のエピソードがあまりにお粗末。この辺り大学のサークルのノリで政府を運営してるようで面白すぎる。犬に鰻丼の衝撃。「皆、喧嘩をしたがっているのだ」血抜きならば政府は超人オリンピックを開催すればよかったではないか。2024/02/17