内容説明
春の雪を血で染めた大老井伊直弼襲撃から始まる幕末狂瀾の時代を、十二の暗殺事件で描く連作小説。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみちI”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。著書に「司馬遼太郎全集」(文芸春秋)ほか多数がある。平成8(1996)年没
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感想・レビュー
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むーちゃん
160
二回目読了。短編12にて構成。 いろいろな司馬作品と連動(関連)しておりサラサラ読めた。信念の違いさえあれみんなが真剣に命をかけて時代を駆け抜ける様が生々しく描写されてます。 あと、生き残るってことは大事だなと。 長編ではないので隙間時間で読めます。2017/02/20
drago @弘前城ソメイヨシノ満開中。
110
歴史は時に血を欲する。暗殺者も、非業の死をとげた者も、共に歴史的遺産といえるだろう…。 ◆幕末における12の暗殺の物語。一つ一つがとても重い短編。 ◆司馬遼太郎は暗殺が嫌いと言っているが、これは本当に面白いし勉強になる。司馬の知識と洞察力の深さに、改めて感服。 ◆司馬は生き残って明治政府で活躍した者より、倒幕のために力を尽くして殉死した者のなかに優秀な人物が多いと評価。分かるような気がする。 ◆幕末の端緒となった第1話「桜田門外の変」と、攘夷の信念を貫く最終話「最後の攘夷志士」がマイベスト。 ☆☆☆☆☆2021/09/25
初美マリン
107
勤皇の志士たちの一流どころは、みんな死んだ、といいきった、しかしいとも簡単に暗殺が行われていた、そんな時代だったのか、いやテロを思えば、今も同じかもしれない2019/04/16
レアル
98
「暗殺」の12の短編集。人の考えや思いが違うだけで暗殺する!というのがこれほど行われた時代はなかったのでないかと思う。「命をかけてでも、その信念を貫く」。命をこれだけ軽んじられた時代も怖いけど、もしかすると我々現代人に欠けている何かを語りかけているような気もする。それでもやっぱり暗殺は怖いかな。。2013/03/15
R
96
タイトルの時代を扱った短編集なのだが、テロルを主題に据えて、暗殺者が主人公。著者的に暗殺は否定的であるとしているからか、人物評などはだいぶ辛口に書かれていて、伊藤博文、井上馨あたりの扱いが酷くて笑ってしまった。現在、少なからずこの影響で二人の評判が悪いんじゃないかと思ってしまう。桜田門外の変のみ、時代を変えた暗殺であったとしつつも、そのほかの様々な殺しは思想というではなく、ただの殺人であったという描き方にも見えて考えさせられた。ちょこちょこ女性といい感じになりそうで、消滅するのがもやもやした。2023/12/25