出版社内容情報
長引く戦争で、国力の尽きつつある日本。ロシアのバルチック艦隊が発動する。国家の命運を賭けた大海戦が始まった──。全巻完結
内容説明
強靱な旅順要塞の攻撃を担当した第三軍は、鉄壁を正面から攻めておびただしい血を流しつづけた。一方、ロシアの大艦隊が、東洋に向かってヨーロッパを発航した。これが日本近海に姿を現わせば、いま旅順港深く息をひそめている敵艦隊も再び勢いをえるだろう。それはこの国の滅亡を意味する。が、要塞は依然として陥ちない。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
236
二百三高地攻略、バルチック艦隊の航海、黒溝台会戦の前哨戦まで。日露戦争の転機となる二百三高地攻略戦。乃木希典率いる第三軍は旅順要塞の攻略目標を二百三高地とするが、ロシア軍も防備を固め容易には陥ちない。満州軍総司令部から児玉源太郎が旅順へ赴く。乃木から児玉は第三軍の指揮権を一時借用し作戦を転換する。遂に二百三高地を陥とす。小説ではあるが余りに劇的な変化だ。それまでの第三軍の難戦が嘘のようだ。確かに第三軍参謀達の頑迷さもあると思う。実際は第三軍のそれまでの力戦に児玉の作戦指導のタイミングが良かったのだと思う。2018/06/03
mitei
181
児玉源太郎が組織的には非常の手段で乃木から指揮権を取り上げて旅順を陥落させたところが見せ場。ロシアもロシアで問題だらけだったんだな。2010/01/27
いおむ
165
さて五巻をようやく読み終わりました!面白いのだけれど就寝前の読書本と決めていたので結構時間がかかりました。しかし203高地の話は寝る前に読むには辛すぎる内容。児玉が最前線に赴き事態が好転するまで、どれだけ無駄な血(あえて言います)が流されたのか、悲惨すぎる。バルチック艦隊のヨーロッパから喜望峰周りの大航海も大変興味深く面白かった。また203高地が辛すぎたので、巻末の秋山騎兵旅団の活躍が際立ちます。当時の国際事情や各国の思惑、歴史、思想などちりばめられ、大変楽しめました!2018/12/29
ケイ
131
203高地を奪うため、乃木・伊地知の無能・無策の下、日本人がひたすら死んでいった。日本からもう人を補給できないほどに。どんなに優秀であっても、策のない突撃で小隊や全滅につぐ全滅。それでも一日は203高知を奪うことができた。わずかな人数で頂上を守る兵隊達。それを救ったのは、乃木の代わりに指揮を取りに来た児玉だった。203高地にたって下を見渡し、ロシアの旅順の艦隊を全滅させたのはそれからわずかのこと。その後、ロシアバルチック艦隊は南で暑さに苦しむ。日本はロシア人の寒さへの強さを侮っていたために冬の急襲に苦しむ2015/02/01
ゆか
127
児玉が乃木を敬いながら戦う姿が何ともいじらしく、それでいて格好良かった。数ではしっかりと表わせない戦死者達を思い、その意志を貫くだけではなく、そこにいる大将の立場まで考えながらの行動ながらに勝利に導くというのは、どんなに難しかっただろう。やっぱり単純な敵よりも、味方の中にいる敵の扱いが分かっている人に勝利が与えられているんだ…。今の世の中、上司に楯突いて出世するのはドラマの中だけの事ですが、児玉さんの立ち回りは勉強になった。と同時に真之全く見かけない巻でした(笑)2015/07/24