出版社内容情報
あらゆる意味で曲り角にきた日本。この国の本質は一体何なのか。無類の歴史通がさまざまな事例をあげて説いた示唆に富んだ日本人論
内容説明
革命をおこした国は倨傲になる。特に革命で得た物差しを他国に輪出したがるという点で、古今に例が多い。明治の日本人には朝野ともにその意識がつよく、他のアジア人にとって不愉快きわまりないものであったろう。―この国の歴史のなかから、日本人の特性を探り出し、考察することによって普遍的なものとはなにかを考える。
目次
戦国の心
ドイツへの傾斜
社
室町の世
七福神
船
秀吉
岬と山
華
家康以前〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
117
本書に触れると司馬さんの歴史に対する知識の豊富さに驚かされる。日本史はもちろん、古代中国史、西洋史、思想、宗教、文化などその量は無限大であると思ってしまう。その豊富な視点からこの国のかたちを考察している。当たり前だが日本の歩みは点でなく面で、いや立方で繋がって来たのだと気付かされる。坂東武者が薩摩や長州に影響を与えたことなどとても興味深い。2017/08/11
Die-Go
79
再読。日本と言う国の「かたち」を、司馬遼太郎の筆によって読み解く。3巻で面白かったのは、甲冑上下。甲冑と言う武具を通して、日本人の精神性にまで触れているのが興味深い。★★★★★2016/03/27
レアル
79
今回も様々な視点から描かれいてた3巻。一番の興味は「ドイツへの傾斜」。1巻で主に述べられていた「先の大戦」へと進んでいった一つの理由がドイツと組んでしまったからなのか。ドイツ傾斜が強かった日本の事について描かれている事に目がいった。そして自らの出生(血統)を偽ったとされる「秀吉」や、徳川の他藩からの防衛の為に大型船禁止した「船」も面白かった。どれもが数ページのエッセイだけど、それらを読むと今の日本が形付けられる要素になっているように思える。引き続き4巻へ!2015/10/29
まさにい
61
再読。ⅠやⅡが直接的に近い形で戦中についての考え方の内容についての話(統帥権や天皇についての記述)が目立ったのに対して、Ⅲについては、日本史全体から現在の日本のあり方を考えさせるヒントを記述しているように思われた。Ⅲには、商品経済の発達と合理性の精神の萌芽(これは明治維新での資本主義の受け入れられる素地があった点)の指摘や首都の変遷についてなどが記述され、内容的にも一般人の盲点の部分を記述している。司馬さんは、この文章で日本国民に考えるヒント(正しく)を発信していたのかもしれない。2016/06/13
おさむ
51
読めば読むほど味が出るこの本。トリビア満載です。古代、日本は海にいる人々と山野にいる人々は民族が違うかと思えるほど別世界にいた(岬と山)中華の華は文明のこと、軽々に冷やし中華などと言うべきでない。李氏朝鮮は中国以上の儒教国家になり、小華と称した(華)平城京が80年余で終わったのは僧侶が権力に横行したため。平安京は大寺を嫌った。いま京都に多い門跡寺院は僧侶の住居。古刹の多くも豊臣期や江戸時代に興された(平安遷都)明治の東京遷都を決めたきっかけは大久保利通宛の一通の投書で、のちの前島密が書いた(東京遷都)2017/06/08