感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
64
4巻は下野した西郷の様子から始まり、佐賀の乱そして台湾出兵と次々に起こる出来事に翻弄されました。征台論について全然知らなかったので、その発端からどうして強行されたのかなど興味深く読みました。今とは世界情勢も違いますけど、民衆はおろか顕官の中でも知らない人がいるままに出兵をするなんて…海外に軍隊を派遣するハードルがこんなに低い時代だったんですね。2017/10/19
amabiko
4
台湾出兵にまつわる章が滑稽。司馬自身も語るように「日本史上の珍事件」。明治7年、日本はまだ幼かったのだ。2015/03/11
りょうけん
4
☆4つ この物語の主人公は薩摩西郷隆盛のはづである。 ところが実に沢山のその他人物についての詳しい述懐が登場する。 いちいちここで例を挙げているとキリがないので、逆説的に一点だけ書いておく。 唯一人坂本龍馬についての記述がほとんど無い。おそらく作者代表作『竜馬が行く』からの影響であろう。 更に特徴的なのは、すべての歴史的事象と物語が「人」を詳らかに描くことに寄って成り立っており、そしてあろうことかそこには司馬遼太郎のその人に対する嗜好がことごとくはいり込んでいる。 従って読めば知識は身に付くがそれはあく2014/01/09
だんだん
3
西郷の下野に伴う影響が、前の巻から続いて描かれている。佐賀の乱、征台遠征など。新政府の、特に薩摩人(と公卿)の揺らぎがどれほどのものかがこの本1冊にわたって面々と描写されている。西郷という人物が、明治維新が終わってなお、どれほどの影響を歴史に落としたか、そして、その動きを察知して封じる大久保の打つ手を通じて、2人の巨人の、大なり小なりの競り合い(両人とも、争いをするつもりがないのがまた不幸)が、あらゆる風景から読み取れる。2011/04/06
ksk
2
佐賀の乱により江藤新平は元参議でありながら容赦無く処刑された。ここでの大久保は冷酷と取れるし国家の秩序のためなら迅速に超法規的に動くという無私の人間とも取れる。成功している経営者にサイコパスが多いというが何かそれに近いものがあるかもしれない。この巻の中盤からは村田新八は有能で勝海舟からも認められながらどうして西南戦争に突入していったかの分析があり、一方で中央政府が台湾出兵へと迷走していく様子が描かれる。2018/05/15