感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
72
刺客として生きる晋助は、その道に充実感を感じていましたが、高杉さんの死により自分の抱えていた想いが幻想だという思いへと変わっていったようです。幻想の中で死を身近に人斬りとして歩んできたことが夢のようになったのでしょう。彼の人斬りとしての生き方は今まで、そしてこれからどのような意味を持っていくのか、想像に耐えません。2018/07/22
レアル
53
司馬氏の良く描かれる歴史上人物であれば、その結末も分かるが、架空の人物物語というのは、物語がどのように転がるのか分からないのも醍醐味の一つかもしれない。幕末という時代の中に溶け込み、その時代を謳歌した晋助。その結末を知りたくドキドキしながら読んだ。2018/11/15
流之助
41
上巻では、刺客として生きることに充実感を覚えていたような晋助が、お里や赤根武人との関係を経て少しずつ変わっていく。高杉晋作という男が見せた幻覚(まぼろし)によって動かされた晋助。幻覚を楽しみ幻覚に生き、死を身近に感じながら人を斬ってきた。そんな晋助をつくったともいえる高杉晋作の死。これに際した晋助は、もう以前の晋助ではなくなってしまったのかもしれない。小栗を殺すという仕事も意味のないものになってしまった晋助のこの先がどういうものになるのか、妄想するしかない。しかし、晋助は女にモテるなぁ。2018/07/05
なつきネコ
15
晋助の生き方は高杉晋作の言葉で生まれ、彼の死と共に消えた。数多くの敵を斬った晋助は何を思うのか。赤根を処刑として斬って、小栗を斬りそこねた。人斬りとしての思想が消え始めていたんだろうか。司馬さんの人斬りや、革命者の美学を解説された気がする。そう言う意味では晋助は革命者ではなかったんだな。人斬りだけとも違う気がするがはたして天堂晋助は何者なのか。結局はわからないんだな。ドラマでは天堂晋助は五稜郭で死んだらしい。なぜ、刺客が兵として五稜郭で死ぬのか。土方の手にかかったのか。それまでの経緯が気になるな。2019/03/27
Cinejazz
13
高杉晋作が長州の仇敵とした幕臣・小栗上野介(外国奉行)の暗殺を天堂晋助に指令した上巻に引き続き、波乱の殺陣が展開されていきます。高杉晋作との不和で長州から脱走した赤根武人(騎兵隊総督)は新選組と和合、池田屋騒動から長州の京都での暴挙(禁門の変)に端を発した幕府の長州征伐で、長州の命運が尽きるかという矢先の薩長同盟の出現、時代の大きなうねりに翻弄される人物像を浮き彫りにした、斬りまくり歴史小説でありました。2021/05/13