出版社内容情報
日産をよみがえらせたゴーンはなぜ墜ちたのか? 「日産・ルノー提携」をスクープしたジャーナリストが企業内部の暗闘を描き出す。
内容説明
倒産寸前の日産をV字回復させたカリスマはなぜ追放されたのか?輝かしい業績の陰でひそかに進行していた私物化と生産現場の疲弊、チルドレンたちの権力闘争―。失敗の本質を分析し、「スマホ化」が進む自動車産業の未来像を洞察する企業ノンフィクションの傑作!
目次
はじめに 独裁とクーデターの歴史から
第1章 クーデター 2018年11月~
第2章 日産の救世主 創業~1999年
第3章 リバイバルプランとV字回復 1999~2005年
第4章 躓き 2005~11年
第5章 私物化 2011~18年
第6章 ゴーンなきあとの日産 自動車産業の未来予想図
おわりに ゴーンの日産は「社会を豊か」にしたか
著者等紹介
井上久男[イノウエヒサオ]
経済ジャーナリスト。1964年、福岡県生まれ。九州大学卒業後、大手電機メーカーを経て92年朝日新聞社入社。名古屋、東京、大阪の経済部で自動車、電機産業を担当。99年、「日産・ルノー提携」の特ダネをスクープ。2004年に独立し、フリー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
235
よく話題になる日産だけど歴史を見ると、中々独裁者が出て、内紛で潰されていく企業風土なのかな?とも思える。たしかに日産て豊田家、本田家など創業者の理念が今も色濃く残っている会社ではないイメージが強いな。本書が出た後にもゴーンは凄いことしてるし、日産、ルノーも相変わらずな関係で今後どうなるのか気にはなる。ただひとつ言いたいのはもう少し車を買って良かったと思える話しエピソードや、車自体の特徴、他社との差別化はしてほしいな。何かずっと車メーカーなのに金の匂いしかしないイメージ。2021/03/07
trazom
40
著者は、トヨタや日産の企業情報に精通するだけでなく、自動車産業の現在と将来を的確に分析し警鐘を鳴らす。流石に鋭く、多くのメディアがゴーン会長の私的流用を面白おかしく論う中で、日産の歴史や風土を踏まえて事件の必然性を分析している。更に、その考察は、この会社の特異性に留まらず、独裁の弊害、自己保身に走る経営者、現場と本社の乖離など、企業が根源的に持つ闇を一般化して浮き彫りにする。フランスの植民地政策は、現地民族に現地民族を支配させ、虎の威を借りた幹部への反発で内乱を誘発させると言う。日産の今後が心配になる。2019/06/17
kawa
39
ゴーン氏の自己あまと公私混同はため息モノだが、レバノン人としての彼の行動原理の分析も試みて欲しかったところ。ところで日産、ゴーン氏の暴走を許した取り巻きや会社の体質も大問題だろう。第2章で触れられているが、日産には創業家とか中興の祖の存在しない。故に、会社としての確固たる理念・思想なし、言わば背骨の無い、その時々の経済情勢のなかでフワフワと漂っている会社のように見受けられる(現下のわが日本国も似ているが?)。そういう体質を変革しないと、世の中まかせの漂流企業を脱せられないではないだろうかと想像してしまう。2020/10/11
ころこ
37
官僚化と高コスト体質、労組との馴れ合いなどから業績の悪化した日産は財務改善が迫られ、ルノーの出資を仰ぎます。ゴーンが送り込まれてきた時期は、折しも同じフランスからサッカー日本代表監督としてトルシエが招聘されたのと重なります。00年シドニー五輪、02年日韓W杯と健闘したかにみえたトルシエ・ジャパンは、その後の報道や選手の暴露で、検討した選手に比してトルシエの指導力を否定的にみる論調が強くなります。トルシエが指導者としてヨーロッパに帰れなかったことが、その証左といえます。「トルシエの指導力の無さに対して、ゴー2020/08/18
hatayan
30
自動車業界に通じたジャーナリストが18年11月のカルロス・ゴーン逮捕の内幕を解説。 日産が業績V字回復を経た後の05年くらいまでは、有能な人材を発掘する組織や意思決定を効率的に進める手法が奏功。しかし、コストカットを中心に短期的な収益を重視するゴーンの経営手法は壁に突き当たり、しわ寄せを受ける現場には不満が鬱積。理不尽な人事などで日産幹部の危機感は頂点に達し、事実上のクーデターへ。 13年時点で「ゴーンの経営手法を健全に否定するリーダーシップが必要」と記していた筆者には先見の明があったのだと思います。2019/03/16