文春新書
粘菌―偉大なる単細胞が人類を救う

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  • サイズ 新書判/ページ数 198p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166609840
  • NDC分類 473.3
  • Cコード C0245

出版社内容情報

単細胞生物と侮るなかれ。複雑な迷路を解く粘菌の賢さに学ぶべし。イグ・ノーベル賞受賞研究者が贈る、粘菌に学ぶ情報処理の極意。

単細胞で脳も神経もなく、大きさも性別も、生物学上の分類さえ融通無碍な生物・粘菌。その粘菌が人間でも難しい迷路を解き、現代の発達した交通網をも独自に作り上げてしまう。単細胞生物でありながら、どこまでも賢い。その賢さはどこからやってくるのか。

日々複雑怪奇な思考に挑んでいるようで、実はヒトがいつしか忘れがちな「単純に見えて賢い思考のプロセス」を、今こそ粘菌に学ぶべし。「人びとを笑わせ、そして考えさせる研究」に贈られるイグ・ノーベル賞を2度も受賞した著者が、粘菌の生態と秘密、そして生物の秩序づくりのしくみを明らかに。現代社会をもチクリと風刺する知的興奮あふれる1冊。

内容説明

脳も神経もなく、形を様々に変えたかと思えば、生物学上の分類さえ融通無碍、南方熊楠がその生涯を捧げたことでも有名な粘菌。単細胞と侮るなかれ。迷路を解き、発達した交通網をも独自に作り上げる。森の中、落ち葉の下。実は身近な粘菌の、「単純にみえて賢い」思考と生態が明らかに。

目次

第1章 イグ・ノーベル賞顛末記
第2章 粘菌の知 ヒトの知
第3章 ヒトもアメーバも自然現象
第4章 粘菌のためらい―科学と文学のあいだ
第5章 不安定性から読み解く秩序づくりのしくみ
第6章 ヒトは粘菌に学べ

著者等紹介

中垣俊之[ナカガキトシユキ]
1963年愛知県生まれ。北海道大学電子科学研究所教授。粘菌をはじめ、単細胞生物の知性を研究する。北海道大学薬学研究科修士課程修了、名古屋大学人間情報学研究科博士課程修了。製薬企業、通信制高校非常勤講師などを経て、理化学研究所(97年4月~2000年10月)。その後、北海道大学電子科学研究所准教授、公立はこだて未来大学システム情報科学部複雑系知能学科教授を経て現職。2008年、2010年にイグ・ノーベル賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コットン

71
最初のイグノーベル賞(ノーベル賞のパロディ)顛末からして面白い!。そして、興味深かったのは粘菌の『ためらい』:粘菌が嫌う物質を微妙な濃度で置いたとき、数時間立ち止まった後突然に動き出し、乗り越えるか、引き返すか、二つに分裂するかという異なった行動をとる。 という、不思議!!2017/12/21

honyomuhito

44
漫画もやしもんに粘菌が迷路を解くのをじーっと見る場面があって(当然見えるようには動かないが)粘菌て何だ?と思って読んだ。イグノーベル賞に始めの1章使って始まった時はどうしようかと思った。が粘菌のそれぞれが独立して動きながらゆるい相互作用を持って繋がる自立分散システムとヒトがトップダウンで行う中央集権システムについての比較など興味深い。粘菌のやり方は大雑把だけどすばやく答えを導けたり突然起こった問題に自在に対処できるなど長所がある。みんな違ってみんないいを地でいく感じですかね。脱線も多いけど面白く読めた。2018/04/03

Vakira

40
読友さんの読書感想読んで「粘菌」たるものを知る。菌なんて言うと想い出すのは「風の谷のナウシカ」の腐海の菌だ。さて、粘菌は単細胞でありながら多細胞的集合体。神経系と「知」あるがごとくの行動。あまり粘菌なんて知らなかったが、この生態に興味を惹かれ、知りたくなった。粘菌関連の本を探していたらこの本を見つける。サブタイトルは「偉大なる単細胞が人類を救う」とある。こりゃもう琴線ビンビンの予感。あら イグ・ノーベル賞受賞。それも2回も。前編はほとんどイグ・ノーベル賞の話。興味のない人には申し訳ないが、これがまた面白い2018/08/14

小木ハム

28
先に読んだ粘菌の本でも紹介されていた、北海道大学の迷路実験で有名な教授の本。粘菌やきのこを研究している人の文章って、朴訥としていながらユーモアもあって好きだな。前半はイグ・ノーベル賞の受賞の顛末。この賞はハーバード大学で行われているノーベル賞のパロディで、まずもって笑わせ、次に考えさせる研究成果を称えるもの。研究内容で面白かったのが、関東圏の主要都市になぞらえて餌を配置すると粘菌がJRの路線図と近似した姿を描くもの。洗練された単純さが最適化されたネットワークを構築する。粘菌に教えを乞う未来が来るかも。2021/02/20

スパイク

24
福岡(伸一)ハカセの本とかにたびたび登場してきていて気になってた粘菌。お気に入りさんが、同著者の本をレビューしてたのに触発されて読んでみた。面白い~!粘菌そのものも、もちろん興味深いが、やはり著者の人間的魅力にひきこまれました。私、生物モノが好きなんですが、なぜ好きかというと「私って何?」という問いがあって、それを知りたいがために「人間って何?」という問いがあり、「生物って何?」と繋がるからなんです。で、またまた生きてくためのヒントをいただきました。『一次近似を粗くとる』『自律分散型の思考』すんばらしい!2015/08/08

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