出版社内容情報
グローバルスタンダードが聞いて呆れる!
我が世の春を謳歌し世界中のビジネスマンのお手本だったウォール街は、何を間違えたのか。米国経済の「失敗の本質」を鋭く暴く。
内容説明
リーマン、AIG、メリルといった大手金融機関の超弩級破綻が続くウォール街。これまで繁栄を誇ったアメリカ経済はいかにして間違ったのか。NYの日本人投資銀行家が鋭く抉るアメリカンスタンダード「失敗の本質」。
目次
序章 アメリカ経済はなぜ衰退したのか
第1章 ゴールドマン・サックスの変質
第2章 モノ作りができなくなったアメリカ
第3章 今日の儲けは僕のもの、明日の損は君のもの
第4章 強欲資本主義のメカニズム
第5章 資産運用ゲーム
第6章 サブプライム危機から世界同時不況へ
第7章 バブル崩壊にいかに立ち向かうか
著者等紹介
神谷秀樹[ミタニヒデキ]
1953年東京生まれ。75年早稲田大学第一政治経済学部卒業後、住友銀行入行。84年、ゴールドマン・サックスに転職。以後NY在住。92年、ロバーツ・ミタニ・LLCを創業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
37
リーマンショック前のアメリカウォール街のアコギな商売に辟易した。そして今回の「アメリカ発」と言われている不況はアメリカのせいでもあるが日本政府も一緒になってやってきたことに問題の根深さがあるんだなと感じた。2011/07/04
さきん
29
本来の投資銀行は、企業や公共団体の顧客を相手に丁寧なアドバイス、指導をおこない、経営を助け、小回りの効く性質を生かして商業銀行とも上手く棲み分けていた。しかし、今の投資銀行の有名どころは、顧客を見失い、荒稼ぎすることが賞賛されるような世界になってしまい、これがバブル崩壊の大きな原因であると著者は見ている。著者も投資銀行を運営しているが、顧客を大事にする伝統的な投資銀行を運営しているそうである。トランプ政権の財務長官にゴールドマンサックス出身の人が就いていたが、タックスホリデーなる影響で売却益に税金が2017/01/24
リキヨシオ
15
アメリカウォール街を中心とした「強欲資本主義」により、プライベート・エクイティー投資(ファンドが経営権を握る投資)が巨大化と共に世界中に発達して、企業は資本家から支配される立場になった。企業からは利益を吸い取って、金融利益を上げる事、安く買って高く売り儲ける、お金がお金を生み出す…という事が最終目的になった。特に、ウォール街の強欲度は日本人社会の考える感覚よりも、3乗も4乗のレベルにある…との事。日本にも広がっていて、最近も日本の温泉運営会社が外資系に買収された…これ読んだら何だか怖いニュースに感じた。2015/02/20
KJ
5
リーマン・ショック前夜に一体何があったのか。改めて振り返ってみると、虚構を駆使して虚構に踊る人間の「強欲」と「傲慢」があった。ウォール街の住人から見れば、会社とは安く買って高く売るための商品でしかなく、そこで何を生み出しどう成長させていくかという発想はない。たとえ顧客が損をする様な取引であったとしても、その分の手数料が入るならその事実も見て見ぬ振りをする。アメリカ国民が借金をして浪費した事で成長した世界経済とその末路。現実に何も生み出さず、金の移動だけで膨れ上がった経済は、まさに砂上の楼閣という事だろう。2014/04/20
yumiko takayama
4
どれだけウォール街が腐敗しているか、働く人たちがどれだけ驕り高ぶっていたかがよくわかった。 10年以上前の本なので、「日本はモノ作りで戦うべきだ」「ITやコンピュータはまっとうな商売ではない」など古い考え方もちらほらあったが。 序章に書かれてある「主役である実業を営む方たちの事業構築を助けるのが金融本来の仕事のあり方であり、それこそが身分相応なのである。」の一文がとても印象的だった。 リーマンショックを経た今、ウォール街はどのように変わったのだろうか?著者の分析を知りたい。2021/02/14