内容説明
江戸時代、全国に流行した伊勢詣。人々は伊勢講を組織して貯金し、餞別をもらい、農閑期を選んで団体で出発した。道中では旅篭代を倹約したり、渡し船の船頭に酒手を強要されたりしつつ伊勢に到着。すると緋毛氈の駕篭に迎えられ、御師の大邸宅では御馳走づくめに絹の蒲団が出る。神楽の奉納に名所・遊女屋の見物、土産の購入と、旅の全てを拾い、その経費を現代の円に換算して庶民の旅の実態を描き出す。弥次・喜多になって旅する気分になれる一冊。
目次
第1章 伊勢参宮(お蔭参り;御師の活動;御師の出迎え ほか)
第2章 旅の値段(奉納金の積み立て;奉納金の内訳;旅の経費とみやげ ほか)
第3章 街道に生きる(往来手形;旅人の保護;旅人たち ほか)
著者等紹介
金森敦子[カナモリアツコ]
1946年新潟県生れ。国学院大学文学部文学科卒業。主な著書に『江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く―諸九尼の生涯』(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)など
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感想・レビュー
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みなみ
14
江戸時代の伊勢参りの旅の様子がわかる本。共同体全体で旅費を積み立てして、籤をひいて数名が実際に旅行に行く。伊勢参りをPRする御師の存在。伊勢から京都や大阪への旅客向けに、宿が予約の勧誘に来る。荷物を宿まで運ぶ約束を取り付けて予約させるそうだ。団体旅行のほうが安全だったり、現代の旅行に通じるシステムがお伊勢参りて既に確立しており、非常に面白い。2021/02/19
Hiroki Nishizumi
5
面白かった。約60年ごとにお蔭参りが流行したとか、御師の活躍が旅行者を牽引したとか、お伊勢参りは現代の価格で何百万円もの大金をはたいたとか、興味深い内容が多かった。2019/12/13
Hiroki Nishizumi
3
よく調べていると思った。ただ事実の展開は詳しいがそれを受けての思想的なものがあまりないので物足りない印象も受けた。2014/10/07
arere
1
p171往来手形 病死しても、通知不要 2018/03/04
真理そら
0
興味深い内容だった。当時の旅の費用を円換算してみるという作業は大変だったと思うけれど、当時の世相や価値観も見えてとても面白い。2017/05/18