文春新書
「唱歌」という奇跡 十二の物語―讃美歌と近代化の間で

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  • サイズ 新書判/ページ数 201p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166603466
  • NDC分類 767.7
  • Cコード C0295

内容説明

キリスト教に基づく近代教育は圧倒的な力でアジア太平洋地域を席捲した。各地の歌謡も讃美歌を歌うことで近代化、西洋化された。それは逆にいえば、長い伝統をもつ、それぞれの地域の歌舞、詩歌が根絶やしにされるということでもあった。その中で唯一、讃美歌を換骨奪胎して生まれた“ミラクル”が、日本の「唱歌」だった…。「むすんでひらいて」「蛍の光」「蝶々」「さくらさくら」など、十二の愛唱歌に秘められた歴史のミステリー。

目次

1 「むすんでひらいて」
2 「蛍の光」
3 「蝶々」
4 「数え歌」
5 「海ゆかば」
6 「君が代」
7 「さくらさくら」
8 「法の御山」
9 「一月一日」
10 「故郷」
11 「真白き富士の根」
12 「シャボン玉」

著者等紹介

安田寛[ヤスダヒロシ]
1948年、山口県生まれ。国立音楽大学声楽科卒、同大学院音楽研究科修士課程修了。山口芸術短期大学助教授、弘前大学教育学部教授を経て、二〇〇一年より奈良教育大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

144
唱歌を12選んでその歴史や作られた経緯あるいは背景などをきちんとした資料を基に分析されています。宗教や時の政権の思惑などもあったのでしょう。「法の御山」という歌は始めて知りました。また「数え歌」などは別のバージョンで知っていました。「海ゆかば」も唱歌の分類に入るのですね。2017/01/18

kinupon

64
今の若い人は唱歌をどのくらい知っているんでしょうか。その歴史や背景を知るともっと唱歌の評価上がっていいいと思います。2019/01/03

へくとぱすかる

26
明治10年代。日本の音楽をどうすべきかの論争が激しかった時代。「唱歌」の背後にキリスト教讃美歌があったことは、著者の『唱歌と十字架』で述べられているが、これは12曲それぞれに焦点を当て、意外な側面を明らかにした本。「さくらさくら」は本当に古い音楽なのか? 「故郷」がある期間、教科書から排除されてきたというのも意外だったが、一番驚いたのは「シャボン玉」についてであった。2016/12/08

白義

14
むすんでひらいてなど、日本が近代化する過程で公式に定められた唱歌たち。その創造の背後には、賛美歌というグローバルスタンダードにより各地の詩歌が絶滅しようとする中、逆に賛美歌のメロディに和風の歌詞を込めた複雑な経緯がある。時の国民国家の論理、国民化の圧によって扱いも歌詞も時には変わってきた唱歌たちの影を描く、上質の歴史ミステリー。西洋風の近代化、身体馴致のために生まれ、保守派と革新派の論争の舞台となった唱歌を、賛美歌という視点から物語として眺めた本書は、唱歌のお供にして歴史に思いを馳せるには好適の一冊である2017/05/07

yyhhyy

3
体系的ではないけど読み物としてとても面白いテーマ邦楽を広めようとした東京府賛美歌を唱歌にしようとした文部科学省2014/03/21

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