文春新書<br> 能の女たち

文春新書
能の女たち

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166601394
  • NDC分類 773
  • Cコード C0295

内容説明

十二の能をとりあげ、そこに登場する女性たちの愛憎劇を練達の筆が描きだします。姉と妹が一人の男を愛したときの複雑な嫉妬。あるいは、年老いた下僕に恋されてしまった絶世の美女の困惑。浅ましいわが身に絶望しつつ、救いを求めずにはいられない孤独。年老いて自然にかえっていく女―。厳しく決められた様式の下から、古今変わらぬ人間心理を鋭くつかみ出し、現代人の共感をよぶ一冊です。

目次

1 『清経』の愛人―男の絶望の深さを、理解できなかった女。
2 『黒塚』の鬼女―業を負った女の悲しみと孤独。
3 『恋重荷』の女御―サディズムの代償は「死」か、それとも「許し」か。
4 『羽衣』の天女―天真無垢な心が持つ浄化力。
5 『鉢木』の妻―事の本質を見誤らなかった眼、つつましやかな叡智の勝利。
6 『鉄輪』の女―生きながら鬼となるぶきみさ。それはだれもが心の底に秘めている呪い願望の形象化か。
7 『海人』の海女―我が身を犠牲にして勝ち取った息子の栄達。
8 『松風』の妹―姉と分かち合った愛。その軽重を計る苦しさ。
9 『籠太鼓』の妻―狂気を装うしたたかな策略。女房族の強さは現代と変らず。
10 『隅田川』の母―ひたすらな歎き。没我の愛。
11 『藤戸』の母―権力を屈伏させた底辺の力。
12 『山姥』の老女―女の或る者は老いて哲理となり、大自然と一体化する。

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