出版社内容情報
制度の改革は選挙をどのように変えたか。東京十七区の新人代議士誕生に見る都市型選挙区の後援会、浮動票のまったく新しい動き方
内容説明
1988年のリクルート事件以来、日本の政界は「政治改革」という旋風に巻き込まれた。しかし政治改革は、いつのまにか選挙制度改革と同一視され、中選挙区制は小選挙区・比例代表並立制に変わった。当初は、政策を争う二大政党への移行が理想とされた小選挙区制だったが、いったい、この制度は政治市場で、実際にはどのように機能しているのか。代議士たちはどのように公認され、どのような選挙活動を行なっているのか。小選挙区における新人代議士誕生までの過程を、都市部の選挙区で克明に追ってみた。
目次
第1章 選挙制度改革とその効果
第2章 社会変動と都市部の政治構図
第3章 公認過程の政治力学
第4章 票読みと後援会作り
第5章 地方議員との保守連合結成
第6章 なぜ中間集団に頼るのか?
第7章 流動層の取り込み
第8章 不安定な優位―選挙結果が語るもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
自称社長
1
平沢勝栄という新人(当時)の国会議員が、出馬して当選するまでにやったことを克明に追いかけた本。これを読むと自民党が何故強いのかが分かるような気がする。当選するためにはしっかりと作戦を立てて、地元の有力者を回ってひとつひとつ票を固めていくしかないようだ。14年前の本なので、現在はどう変わっているのか知りたい。2016/07/13
Hisashi Tokunaga
1
確かに都市から労働者が消え、中小企業が残った。自民も個人後援に頼っている。これらがこれからの自公の基盤となっていったのだ。平沢と公明山口はともにこうした新時代の幕開け選挙の苦戦が実績となって党の要職を駆けあがっていった。今となってはその足跡のだ一歩をしるす著作ともいえる作品となった。
のん
0
1996年、小選挙区制導入後初の総選挙における東京17区の平沢勝栄対山口那津男の対決に密着し、小選挙区制における選挙戦術について解説を交えつつ論じている。読んでいて直感的に感じたのは後援会や地方議員を中心とした選挙戦術はまるで信長の野望の陣取りゲームのようだなということ。あの地域は支持者が少ないからあの地域の有力者を取り込もうという発想で平沢は動いている側面があった。創価学会のような強固な支持基盤があれば話は変わってくるのだろう。選挙がどう行われているかについて勉強になる。2015/10/30
いま
0
後援会始め中間集団が小選挙区においても重要な役割を果たしている。選挙制度改革の目的とは違う方向へと向かっているが、考察としては面白い。2018/05/24