内容説明
御国入りで初めて見る故郷の美しさ、初めて知る兄弟の情。若殿は倒産阻止を決意するが、家臣共々の努力も焼け石に水。伝家の宝刀「お断り」で借金帳消しの不名誉を被るしかないのか。人も神様も入り乱れての金策に、果たして大団円なるか―
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年、東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞受賞。97年『鉄道員』で直木賞受賞。2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞受賞。06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞、司馬遼太郎賞を受賞。08年『中原の虹』で吉川英治文学賞受賞。10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞受賞。15年、紫綬褒章受章。16年『帰郷』で大佛次郎賞受賞。19年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
333
上・下巻、700頁完読しました。面白くなくなくはないですが、少し冗長な感じがしました。江戸幕府も末期は、制度疲労していたんでしょうね。現実に救う神はいないので、ほとんどの藩が困窮していたんだと思います。 https://twitter.com/daimyou_tousan2019/12/29
パトラッシュ
200
(上巻から続く)周五郎の昭和的重さと浅田の平成的軽さの違いかもしれないが、現代の読者に合っているのは確かだ。今回も実に楽しく読めたが、唯一不満なのは短すぎたこと。同じ幕末期を扱った『一路』や『黒書院の六兵衛』はテーマが明確でストレートな展開だったが、本書は時代との関わりや小四郎の父母の話、幕閣や大商人の動きなど倍くらい面白い話が書ける素材を詰め込みながら消化不良に終わっている。大名倒産という前代未聞の企てに走った御隠居様が繁文縟礼にまみれた幕藩体制を自ら打倒せんとする大胆な叛逆者だったら一層面白かったが。2020/01/10
やま
198
東照神君家康公が天下を統一してから二百六十年の長きにわたり、銭勘定に疎く、銭金を不浄のものとする武士が、まともな領地経営など出来るはずがない。越後丹生山藩三万石の代々の当主は、その結果として、借財二十五万両となり、その利息が三万両。それをまかなう収入が一万両。しかし、先代当主に捨てられて足軽に育てられた十三代当主・小四郎は、足軽の子として育てられたがために、銭金の重みを知っている。字の大きさは…小(字が薄い) 🌿続く→2021/05/24
修一郎
165
七福神の方々の後押しのおかげで殿様の取り組みは都合よくするする進むけど諸事情抱えた七福神のエピソードが楽しいのでよし。板倉周防守はやはりここでも名宰相でした。財政再建の基本は倹約/視える化/殖産興業,いつの世でも同じですな。浅田さんと同じで私も飯がすすむヘビィな塩じゃけ好きですよ。ここで財政再建しながらこの数年後には御一新なんですよねぇ。。江戸末期の大名台所事情。ああ楽しかった。 2020/04/11
うののささら
143
江戸時代の武士って、お家のため子孫を残すことをなにより大事にしてきたんだな。先祖が代々守り続けたものを次の世代に引き継いでいく。見えざる先祖の魂に問いかけられながら平穏無事な人生を果たしていく。ただ御家の業を背負ってしまう不幸な人生もあるんだろうな。プレッシャーだね。そこには神の介在を考えてしまうんだな。久々の浅田次郎おもしろかったです。2020/08/29