ショートショート美術館―名作絵画の光と闇

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ショートショート美術館―名作絵画の光と闇

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  • サイズ B6判/ページ数 211p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163909240
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

二人の作家が、古今東西の名作絵画から着想を得てショートショートを競作。今までとは違った視点で絵画を見られるようになる掌編集。ショートショートから作家としてのキャリアをスタートした太田忠司と

新世代ショートショート作家として人気を集める田丸雅智の二人が

ゴッホ、ムンク、マグリットなどの名画をテーマに競作。

絵画の世界に引き込まれる一作です。



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まえがき 田丸雅智



何か一緒に、おもしろい連載をしてみませんか。

太田さんに誘っていただいたのは、2015年の春のことでした。同じ題材で二人が別々の作品を書く「競作」なんてどうでしょう。

そんなことを言っていただいたときには畏れ多くもあったのですが、とても嬉しく、新たな挑戦にワクワクしたのを覚えています。

その競作の題材を考える打ち合わせで、絵をお題にするのはどうだろうかと提案したのはぼくでした。もともと絵画が大好きで、実際に絵から作品を書いたこともあり、絵の持つ力を日頃から強く感じていたことから出た案だったのですが、それに太田さんも快く乗ってくださり企画が動きだしました。

ですがこの連載、一筋縄ではいきませんでした。

対峙しなければならないのは、題材となる絵。そして太田さんの存在を意識せずにはいられません。おまけに連載時は誌面に掲載されるまでお互いの作品を読むことができず、いっそう緊張感は高まりました。太田さんの作品が気になって、毎回飛びつくように誌面を開いたものでした。

そんな絵にまつわる競作作品をまとめたものが、この本です。

楽しみ方は、十人十色だと思います。

二人の作家の視点の違いや共通性を楽しむもよし、純粋に勝ち負けをつけていくもよし。あるいは我々の作品から刺激を受けて、同じ絵から自分の作品を書いてしまうもよし――。

この本を通して、何らかの形でみなさんの日常を少しでも彩ることができればいいなと思っています。



さあ、想像力という名の絵筆を手にしていただき。

あなたの最後の一筆で、ぜひこの競作本を完成へと導いてもらえればうれしいです。

太田 忠司[オオタ タダシ]
著・文・その他

田丸 雅智[タマル マサトモ]
著・文・その他

内容説明

おいで、絵画の導くその先へ。10の名画をテーマにして、二人の作家が豊かなアイデアで競い合う。日常を抜け出す5分間×20編!「文藝春秋×ショートショートガーデン名作絵画ショートショートコンテスト」受賞作二作を掲載!

著者等紹介

太田忠司[オオタタダシ]
1959年、愛知県生まれ。81年、大学在学中に「帰郷」で星新一ショートショートコンテスト優秀作を受賞。90年『僕の殺人』で長編デビュー

田丸雅智[タマルマサトモ]
1987年、愛媛県生まれ。2011年、『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され作家デビュー。12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。自らが発起人となった「ショートショート大賞」においては審査員長を務め、「シヨートショートガーデン」の運営にも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かみぶくろ

89
有名絵画を題材にした田丸雅智さん・太田忠司さんによる競作ショートショート集。最近ショートショートの魅力にハマっているので両者の個性の違いがとても楽しめた。田丸さんは現代的。アイデアのユニークさや現代的なモチーフ、オチのキレが秀逸。太田さんはどこか古風。年配読者にウケそうな渋い筆致と正統派な展開。どちらが正解というわけでもないけど、個人的にショートショートの醍醐味は、その驚きとキレと読後の余韻にあると思っているので、自分は田丸さんに軍配を上げたい。2019/01/06

mocha

84
名画にインスピレーションを受けての競作。同じ絵を見てもまったく違う物語が紡がれ、一枚で二度おいしい。太田さんはコメディ、ホラー、ヒューマンなどなど老練なワザを見せてくれる。「風神雷神図屏風」には笑った。田丸さんの方は「この絵からそこ行く!?」というぶっ飛んだ発想に驚かされる。巻末の超ショートも良かった。2019/11/01

☆よいこ

73
太田忠司と田丸雅智が同じ絵画を見て書く▽ゴッホ「夜のカフェテラス」語らい/灯りのカフェ▽フランティシェク・クプカ「静寂の道」収穫される者/スフィ女▽ムンク「吸血鬼」緋色の髪のマダム/吸わせ屋▽俵屋宗達「風神雷神図屏風」世紀の一戦/風神雷神コンテスト▽モネ「雪の中の蒸気機関車」目撃者の証言/願いの蝶▽シャガール「サーカス」くるよ/鉄の曲芸師▽月岡芳年「猫鼠合戦」戦の始末/猫の悩み▽エッシャー「写像球体を持つ手」移転狂詩曲/球面の男▽ルネ「光の帝国Ⅱ」夜の町/闇の住人▽平山郁夫「月明の砂漠」『砂狼』/導く者2022/11/12

いたろう

59
ショートショートの名手2人による、名画をお題にしたショートショートの競作。よく知っている絵から、こんな物語を発想するのかと思ったり、同じ絵を題材にしていながら、それぞれテイストが異なる話になっているのが面白いと思ったり、お題の絵画も、西洋絵画あり、日本画あり、バラエティに富んで飽きさせない。そんな中で、個人的に大好きな絵画、夜の風景と昼の青空が同居する、ルネ・マグリット「光の帝国Ⅱ」から考えられた物語が、2人とも、幻想文学のようになっていて、なかなかいい感じ。ただ、絵は、できればカラーで載せて欲しかった。2019/04/30

ネコタ

38
太田忠司さんと田丸雅智さんによるショートショートの競作。お二人ともショートショートは得意としているので面白かった!田丸さんの作品は初読み。さらに題材が名作絵画ということで、その辺りもよかった。ゴッホ、ムンク、俵屋宗達、平山郁夫など10作品がテーマ。太田さんは大好きなプロレスもモチーフにしていたりしていた。田丸さんの最後の一文が秀逸、特にスフィンクスと忠臣蔵が良かった。2018/12/19

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