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浮遊霊ブラジル

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  • サイズ B6判/ページ数 180p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163905426
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。卓抜なユーモア溢れる全7作。初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む、会心の短篇集!



【収録作】

「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。〈2013年川端康成文学賞受賞作〉



「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。



「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。



「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。



「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?



「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…



「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが。

津村 記久子[ツムラ キクコ]

内容説明

ただ生きてきた時間の中に溶けていくのは、なんて心地よいことなんだろう。卓抜なユーモアと鋭い人間観察、リズミカルな文章と意表を突く展開。会心の短篇集!

著者等紹介

津村記久子[ツムラキクコ]
1978年、大阪府生まれ。2005年、「マンイーター」(刊行時に「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で第21回太宰治賞を受賞しデビュー。08年、『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞、09年、「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、11年、『ワーカーズ・ダイジェスト』で第28回織田作之助賞、13年、「給水塔と亀」で第39回川端康成文学賞、16年、『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

649
タイトルに激しく魅かれて。長編だとばかり思いこんでいたが、表題作を含む7つの作品からなる短篇集。津村記久子は12冊目だが、これまでに彼女の作品に抱いていた、焦点をわずかに、しかも実に巧みにズラせたリアリズム小説といったイメージからは大きく逸脱するものだった。7篇のいずれもが多かれ少なかれそうなのだが、とりわけ表題作のぶっ飛びかたには驚かされた。書かれた順の編成だが、そうすると、作家はこの地点に向かって着々と変貌を準備していたかのようである。この前後の作品もぜひ読んでみようと思う。2019/12/22

おしゃべりメガネ

219
芥川賞作家津村さんの短編集です。う〜ん、正直本作は好みがはっきりと別れる内容でした。作品全体的にちょっとつかみどころのない感じで、そのフワッとした作風が津村さんの魅力でもあるのですが、今作はちょっと入り込めなかったです。でも『地獄』あたりのユーモアはやっぱり津村さんじゃないと書けない作風だなぁと。短編、それぞれがまさしくタイトルどおり浮遊しているかのようで、ぼやけたまま読了してしまいました。津村さんのファンタジー要素もなくはないですが、やっぱり津村さんには日常のなんてことないひとコマを書いてほしいですね。2017/05/07

酔拳

218
7編の短編が収録されている。「給水塔と亀」「地獄」「運命」が特に印象に残った。「給水塔と亀」は定年退職した独り身の男性が生まれ育った町に帰って第2の人生を始める話。小説の終わりぐらいに、アパートでビールを飲みながら水ナスを齧るところが、哀愁漂い、よかった。「地獄」は地獄に堕ちた二人の女性の話。地獄を、津村さんのユーモアを交えて書いてあり、おもしろかった。「運命」は、最後の方の節で、受精の様子が書かれていて、その描写がすばらしかった。2021/02/26

なゆ

213
ああ、このしみじみと味わえる面白さは流石としか言えぬ!七つの短編どれもよくて、こりゃ津村さんますます進化しているのかも。おっさんでもじいさんでも、あの世の霊でも鬼でも、穏やかでどっか不器用そうで飄々としてて。中でも楽しめたのは『地獄』。まー面白い地獄を思いつくもんだ。それでいての人間模様ならぬ鬼模様。のむのむとかよちゃんだから、こんなに楽しそうに見えるのか?『アイトール・ベラスコの…』も、話は意外な方向に展開して、いじめっ子の連鎖みたいのを感じる。男子ニブすぎっ。『浮遊霊ブラジル』は終わり方がたまらん。2017/01/02

めろんラブ 

201
私は「小さな話」が好きだ。市井の人を丹念に描いたものには、人間のどうしようもなさと、だからこその愛着があるから。登場人物が心の住人になり、孤独の友となるから。さて、津村さんの最新作である本書、これまた心の住人候補が豊作でニマニマが止まらない。皆、突出した個性があるわけではなく、どちらかと言えば地味である。それでも、その存在が愛おしい。それは彼・彼女に兆すほんの少しの温もりに、生きる価値があるかもしれないこの世を見たからかもしれない。しんどさに寄り添いつつニッチなユーモアも冴えて、こういう本はホント有難い。2017/03/31

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