寄生虫なき病

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  • サイズ B6判/ページ数 463,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163900353
  • NDC分類 491.9
  • Cコード C0098

出版社内容情報

寄生虫、細菌、ウイルスを駆逐した清潔な現代社会。だが寄生者不在は免疫の暴走を呼び新たな病を生んだ。傑作科学ノンフィクション!

カバー写真の恐ろしげな生物。これは「アメリカ鉤虫」といって、かつて米国で猛威をふるった寄生虫だ。米国では現在は根絶されたこの寄生者に、著者はわざわざメキシコへ赴いて感染しようとする――。なぜか? 著者は「自己免疫疾患の全身脱毛症」ほか、数々のアレルギーを患っている。有効な治療法はない。しかし、こうした自己免疫性の病の治療法として、この寄生虫が売買されているというのだ。サイエンスライターの著者は、自らこの療法に挑むとともに、寄生者と病の関係についての果てしない探究に乗り出した。

かつて人間は体内に必ず多くの寄生虫、細菌、ウイルスを持っていた。だが近代、公衆衛生は劇的に向上し、それらは駆逐され、感染症は激減した。しかし、一部の科学者はそれに反比例するように新たな病が増えていることに気づいていた。花粉症、喘息、アレルギー、そして自己免疫疾患。クローン病、多発性硬化症といった聞きなれない病が明らかに増加している。これらの出来事には関連があるのだろうか? 「寄生者の不在」が、我々の体内の免疫反応のバランスを乱し、病をもたらしているのだろうか?

著者は8500本にも及ぶ研究を渉猟し、多くの科学者にインタビューを重ねて、この疑問に迫る。各々の病の専門家たちが予感しつつも見出しえなかった、連鎖する「不在の病」の全貌が徐々に見えてくる――! そして著者自身の寄生虫療法の結末は!?
まさに「すぐそこにある」人類の危機があますところなく描き出される。解説の福岡伸一氏も「現時点での決定版的解説書。私たちの清潔幻想に警鐘を鳴らす問題作だ」と驚嘆する、超大作科学ノンフィクション!

内容説明

寄生虫、細菌、ウイルス。彼らを駆逐する公衆衛生の向上によって、確かに感染症は激減した。しかし、一部の科学者たちは、まるでそれと反比例するように新たな病が増えていることに気づいていた。花粉症、喘息、アレルギー、そして自己免疫疾患。これらの病は、果たして「寄生者不在」によるバランスの乱れが原因なのだろうか?自らも自己免疫疾患を患う著者は、あらゆるジャンルの膨大な研究とインタビューから、「寄生者不在の病」の全貌に迫ってゆく。そして、ついには自ら寄生虫を腸内に感染させる治療法に挑んだ。果たしてその結末は?

目次

寄生虫に感染しにゆく
我々は「不潔なサル」である
自己免疫疾患の島で何が起こったか
寄生虫治療、最初の試み
喘息が出現しはじめた理由
我々が失ったのは寄生虫だけではない
母体の環境が子どもの病を決める
「悪玉」ピロリ菌は役に立っていた?
「体内生態系」の混乱
多発性硬化症から分かったウイルスの重要性
自閉症も寄生者不在の疾病なのか?
ガン、うつ病、老化まで―文明病に潜む炎症
鉤虫アンダーグラウンド―寄生虫に希望を求めて
私の寄生虫療法体験記
超個体の再生

著者等紹介

ベラスケス=マノフ,モイセズ[ベラスケスマノフ,モイセズ] [Velasquez‐Manoff,Moises]
コロンビア大学大学院のジャーナリズム科でサイエンス・ライティングを専攻した科学ジャーナリスト。『ニューヨークタイムズマガジン』誌、『シカゴ・トリビューン』紙などに寄稿する。自己免疫疾患を患い、寄生虫・細菌・ウイルスと免疫の関係を調査。論文8500本にも及ぶ膨大な研究を渉猟し、自ら寄生虫感染療法を試みて、初の著書となる『寄生虫なき病』を書きあげた

赤根洋子[アカネヨウコ]
翻訳家。早稲田大学大学院修士課程修了(ドイツ文学)

福岡伸一[フクオカシンイチ]
生物学者。1959年東京都生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

58
人間は体内に必ず多くの寄生虫、細菌、ウイルスを持っていた。だが近代、公衆衛生は劇的に向上し、それらは駆逐され、感染症は激減した。しかし、一部の科学者はそれに反比例するように花粉症、喘息、アレルギー、クローン病、多発性硬化症、中には自閉症のような精神的疾患と見なされていた症状、そして自己免疫疾患といった新たな病が増えていることに気づいていた、そういった事態について、解説の福岡 伸一も書いているが、現時点での決定版的解説書だというのは、僭越ながら自分も同感共感である。 一読をお勧め。2017/02/16

たかぴ

35
コロナが世界中に渦巻いている中、積読していたこの本を読んだ。現状のコロナ対策がコロナウイルスを体内に入れないために除菌などのすべての菌を受け入れない対策が本当に正しいのかを考えさせられました。解説にも書いていたがこれからは不在の証明をしていかないと益々、寄生虫や細菌の受け皿として人間は地球上の一生物として生きていけないと思います。環境問題も含めて人間は地球における異物に既になっているので、地球が一生物として見ると排除されられる恐怖が起こりました。自身が成長出来ました。ありがとうございました。2021/05/17

ヨクト

31
人体は寄生虫の楽園であると言えば不快に思うだろうか。体重の数%を占めるとも言われている。たしかに人類を苦しめているコレラやマラリアなどもあるが、乳酸菌をはじめ多くの良性寄生虫が存在するのだ。寄生虫の可能性は計り知れなく、人間では生成できない養分を生成するもの、アレルギーを抑えるもの、更には老化を抑えるもの、極め付けは自閉症を抑える可能性があるものもあるのだ。エピジェネティクスと糞便移植の話が興味深かった。社会が清潔になればなるほど、人は寄生虫不在で苦しむのかもしれない。いや〜寄生虫はすげ〜よ。2015/02/24

魚京童!

25
ぜんぶ寄生虫のせいだ!2014/05/11

小鈴

24
病気とは原因菌があって発症したり、遺伝子の影響を受けていたりするものだと思っていた。花粉症、喘息、アレルギー、自己免疫疾患はては自閉症まで。。。公衆衛生の向上で近年増加したこれらの病気は、清潔になった環境で寄生虫や常在菌がいなくなり、人間の免疫力が暴走しているのでは、ということを様々な研究から解き明かす。人間は進化の過程で、寄生虫や菌類に侵されることを前提に免疫力を進化させてきた。これらのいない世界で人間の免疫力が狂い始めている。。。重い免疫疾患の著者は寄生虫を取り入れて実験を試みる!2014/06/16

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