パナソニック・ショック

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  • サイズ B6判/ページ数 247p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163759609
  • NDC分類 545.067
  • Cコード C0095

出版社内容情報

幸之助を神様にし、さらに幸之助の本当の教えを壊してしまったことがパナソニックの失策だった。経営は常識なりを取り戻せるか。

パナソニック、お前もか! ソニーと並んで日本を代表するエレクトロニクス企業であるパナソニックも二年連続で7000億円もの大赤字出してしまった。なぜパナもダメになってしまったのか。多くのビジネスマンの疑問に真っ向から答えたのが本書である。歴代の社長インタビューをはじめとして、著者の20年以上にわたる取材、その成果である企業分析は圧巻である。優れた技術力と販売力で躍進を続けてきた松下電器。「経営の神様」松下幸之助の経営理念は、いかに変質したのか。またどこで誰が誤ったのか。まず著者は、幸之助の人生をたどりながら、日本的経営の典型といわれる松下流の経営の本質に迫る。
よく誤解されているが、幸之助は決して貧しい階層の出身ではない。父の代で米相場に失敗し 没落していたが、元は庄屋の出身である。若き総領であった幸之助は、松下家の再興というプレッシャーと生来の虚弱体質から、辛い日々を過ごした。そのなかで、幸之助は「他人の顔色を窺う」能力を磨いた。これが小さな町工場だった松下電器を世界のパナソニックに育てた原動力となったのである。「他人に任せる」ことから事業部制が生まれたり、「共存共栄」の経営姿勢が生まれた。同時に人手不足を補うために、幸之助は独自のM&Aを行ったことで知られる。
パナソニックは、ソニーのように独創性の高い製品を追い求めるというより、「廉価で高品質な製品」を大量に販売してきた。ソニーが技術指向の会社なら、パナは市場指向の会社であったのだ。幸之助を神格化し始めたころから、パナは市場の声を聞かなくなった。幸之助の精神は失われ、中村社長時代に至って完全に壊れてしまった。筆者(立石)は、幸之助を神様にしてしまったことが、会社を傾かせた原因と観る。幸之助は神様ではなく「完全なる常識人」である、この原点に立ち返ることこそ、パナソニック再生の鍵と指摘している。

内容説明

二期連続で七千億円もの赤字を計上した「パナソニック・ショック」。日本的経営の象徴であり、日本を代表するメーカーが凋落してしまったのはなぜなのか。それは創業者・松下幸之助に発する根源的問題と、度重なる経営者の失策、そして技術の流れを大きく見誤った戦略ミスにある。二十年以上にわたり取材を続けた著者による渾身のレポートである。

目次

第1章 私と松下幸之助
第2章 幸之助と松下電器
第3章 中興の祖山下俊彦
第4章 戦略的な経営
第5章 創業者なき経営
第6章 破壊の時代
第7章 パナソニック再建のために

著者等紹介

立石泰則[タテイシヤスノリ]
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。1950年福岡県北九州市生まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。経済誌編集者や週刊誌記者などを経て88年独立。93年に『覇者の誤算日米コンピュータ戦争の40年(上・下)』で第15回講談社ノンフィクション賞受賞。2000年に『魔術師三原脩と西鉄ライオンズ』で第10回ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。他にデビュー作『復讐する神話 松下幸之助の昭和史』をはじめ著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

98
著者は企業にかなり入り込んだ本を書いてきたと思うのだが、この本は浅かったと感じたのは私だけだろうか?現代のパナソニックの課題を挙げ、切り込んでいくと期待して読んだが、中味は幸之助の物語・山下社長時代の物語が 多く、その後の社長時代への書き込みが少なかったように思う。今を生きる人たちへ配慮だったのだろうか? 2013/05/11

アメフトファン

42
一つの会社の栄枯盛衰を分かりやすく描いた本だと思います。日本を代表する会社であるパナソニック。現在も続く苦境は日本の電機業界の苦境を象徴していますが、何故そこに至ったのかがよく分かりました。中村元社長の破壊と創造のうち創造が全く出来ていないところが、今に続く問題なんでしょうね。日本の経営者の多くが陥った罠として欧米流のリストラが挙げられると思います。従業員を削減して見かけの財務状況を改善する。ところが有能な従業員は去り新しい商品が生まれない。この罠から抜けるヒントを今後も探していきたいと思います。2014/05/12

メタボン

11
☆☆☆☆ 松下電器の興亡を関係者証言を織り交ぜ丹念に語る良作。中興の祖「山下俊彦」社長には、技術を柱とする明確なビジョンがあった。しかし志は引き継がれず、ビジョンは放棄され、カネを尊重し、ヒトとモノを軽視。その結果、人材流出と技術の停滞によりコアコンピタンスを失い一気に没落。まさしく栄枯盛衰のことわり。創業者松下幸之助の精神を標榜するかに見えて、その実は真逆でないがしろにした、中村邦夫・大坪文雄の罪は重い。山下の面影とだぶる津賀一宏新社長に、著者はパナソニック復興を期待している。ところでみずほは大丈夫か。2013/10/29

miyatatsu

9
当時のパナが抱えていた問題がどのようなモノだったのかよくわかるようになりました。パナにはこれからも日本を代表する企業として日本経済を牽引していって欲しいと思います。2018/07/15

bakumugi

7
長年のメーカー取材に裏打ちされた冷静で鋭い視点と、事実を大仰なドラマに仕立てることもない、日本の製造メーカーの未来を憂う熱い主張に説得力がある。ただ、4Kテレビで起死回生、という流れは難しいと思うが。。。パナ最後のスマホELUGA、パナソニックらしさ全開のいい機種だと思ったけどなぁ。自分はiPhone選んだけど。創業者が光るほど、会社の規模が大きくなるほど、創業者なきあと、試行錯誤のチャレンジではなく暗中模索の迷走になりがち。パナソニックには、ワクワクする製品といい意味で驚きのある事業展開を期待する。2014/01/28

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