無意味なものと不気味なもの

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  • サイズ B6判/ページ数 293p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163688701
  • NDC分類 902.3
  • Cコード C0095

内容説明

本来のメッセージとは微妙に食い違った部分においてひそやかに違和感を与え続けてきた小説たち。奇妙な方法論を用いて世界を分節してみせた物語たち。わたしの孤独感をますます深めてきた文章の数々。本書は、そのような小説について、あえて個人的な記憶や体験を織り込みつつ論じたものである。

目次

隠蔽された顔―N・ホーソーン『牧師の黒のベール』
本物そっくり―河野多惠子『半所有者』
糞と翼―パトリック・マグラア『長靴の物語』
姿勢と連想―古井由吉『仁摩』
受話器を握る怪物―H・P・ラヴクラフト『ランドルフ・カーターの陳述』
孤独な日々―日影丈吉『旅は道づれ』
南洋の郵便配達夫―J・M・スコット『人魚とビスケット』
描きかけの風景画―藤枝静男『風景小説』
墜落する人―レイ・ブラッドベリ『目かくし運転』
救われたい気持ち―高井有一『夜の音』
果てしない日々―クレイ・レイノルズ『消えた娘』
世界の構造―富岡多恵子『遠い空』
グロテスク考―カースン・マッカラーズ『黄金の眼に映るもの』
うふふ。―車谷長吉『忌中』
昆虫的―内田百〓(けん)『殺生』+ブルーノ・シュルツ『父の最期の逃亡』

著者等紹介

春日武彦[カスガタケヒコ]
1951年、京都府生まれ。日本医科大学卒業、医学博士。産婦人科医として6年間勤務の後、精神科医に転ずる。都立墨東病院神経科部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

10
再読。精神科医による文芸エッセイ。二年くらい前、学校をサボってファミレスでひとり読み耽っていた時のことを鮮明に覚えている。「著者自身もずいぶん不健全だな」というのがその時の感想であったが、なぜかお気に入りの一冊になってしまっていた。どっちつかずの宙ぶらりんであった当時の心理と(いまもそれは変わらないが)、本書で取り上げられている小説の「無意味なもの」、「不気味なもの」とが奇妙にリンクしていたせいかもしれない。春日武彦には、もう一度こんな感じの本を書いてほしいように思う。2009/05/11

カンジ

7
前置きと本文の関連付けが絶妙だと思います。よく考えられた、ていねいな文章だと感じます。読み進むにつれて、だんだん疲れてきました。でも底無し沼の辺りなど、共感できる部分にくると、一気に興味が湧き上がりますねやはり2020/05/30

らむだ

6
無意味なもの、不気味なものにまつわる作者自身のエピソードを交え十六篇の小説について語った一冊。 「文学研究といった高尚なものではないし、エッセイと称するには強迫的な気配が漂い過ぎているだろう。」というまえがきの言葉が妙にしっくりくる、なんとも言えない味わいのある作品でした。  ※牧師の黒のベール、半所有者、長靴の物語、仁摩、ランドルフ・カーターの陳述、旅は道連れ、人魚とビスケット、風景小説、目かくし運転、夜の音、消えた娘、遠い空、黄金の眼に映るもの、忌中、殺生、父の最後の逃亡2016/07/26

BJ

3
春日武彦の著作で一番面白いものを読みたい! 18862024/03/03

おかざき

3
春日大先生の考察がめちゃカッコイイよ。

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