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ドナウよ、静かに流れよ

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  • サイズ B6判/ページ数 367p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163597409
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

【この本をお薦めします!~紀伊國屋書店新宿本店・野口】
 邦人カップルがドナウ川に入水自殺、男は33歳指揮者で女は19歳女子大生。このスキャンダラスにも聞こえる事件を覚えている人はいるだろうか。実際に起こった事件であり、2人の命が失われたのだから「面白い本」として推薦するのは適当でないかもしれないが、日本から遠く離れた地で静かに狂っていく男と若く美しい19歳の命を捧げた女の愛の形を丁寧に描いた本書にはページをめくる指がとまらない面白さがあり、是非一読をお薦めしたい。

【この本をお薦めします!~紀伊國屋書店新宿本店・清水】
 今年一年で読んだ本の中で一番心を動かされた作品です。読みながら自分も追いつめられたように切なくなり本の中の登場人物たちをなんとか助けたいと願うような気持ちになりました。

内容説明

留学中にドナウ川へ身を投じた十九歳の少女。その死を報じる小さな記事に衝き動かされた私は、運命に導かれ彼女の短すぎる生を追う旅に出た。衝撃の大河ノンフィクション。

目次

第1章 ドナウからの声
第2章 同級生
第3章 初恋
第4章 クルージュ・ナポカに雪は降りつむ
第5章 「指揮者」の長い影
第6章 いくつもの「もし」
第7章 ウィーンは漆黒に沈む
第8章 神様、平和を
第9章 ドナウの沈黙
最終章 イッサンブルからの手紙

著者等紹介

大崎善生[オオサキヨシオ]
1957年、北海道札幌市に生まれる。2000年、『聖の青春』でデビューし、第13回新潮学芸賞を受賞。2001年、『将棋の子』により第23回講談社ノンフィクション賞を、2002年、初めての小説『パイロットフィッシュ』により第23回吉川英治文学新人賞を受ける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ライアン

16
ビブリオ用に再読。初めて読んだ時はがっつり3日間ほど落ち込んだ。2001年にウィーンで起きた33歳自称指揮者と19歳女子大生が心中したお話し。歩冬のルーマニアで出会い奇妙な付き合い方をした2人が8ヶ月後ドナウ川に身を投げる。精神病歴があり虚言壁と奇行が目立つ男性の世界に同化されるように。彼女の両親は男に殺されたというが、ウィーンでの2人を知る人に著者が話を聞くとルーマニア時代とはまた違う2人の世界を知る。決して殺されたわけではないのだ。巻末の留学前の彼女の写真が実話だと感じさせ痛ましく思い重さを増幅させる2014/11/27

Mabel

10
実話を題材とした小説。知人の娘である大学生とその交際相手が心中するまでの軌跡を辿る。なぜ死んでしまったのか...は結局のところ本人にしか分からない。親でさえも傍観者でしかない。彼女の短い人生の中でほんとうに幸せを感じられた瞬間はあったのだろうか。2018/07/16

fanfan

6
遥かヨーロッパのドナウ川に自ら身を投げた19歳の少女と30代の指揮者を名乗る日本人。小さな死亡記事に何かを動かされた筆者によるノンフィクション。エキセントリックな日実という女の子の生きざまと精神を病んでるであろう恋人の日々を取材しつつ、大崎さんならではの美しい文体による主観がところどころに散りばめられています。途中から小説を読んでいるような錯覚に陥るほどの、ドラマティックな流れ。巻末の日実さんの写真を目にして、こんな哀しいほどに尊い愛し方があるんだな。と愕然としてしまいました。2015/02/06

イチ

5
ノンフィクション。事実は本人たちにしかわからない。もしかしたら本人たちにすら何もわかっていないかもしれない。でも、そこに素敵な意味があればいいと感じた。大崎さんの根性と、一見したら暗く混沌とした事件へ一筋の光を射す言葉に打たれた。なかなか重いがノンフィクション作品に興味を持たせる一冊。2010/10/02

mataasita

4
死んだ2人に共感できる部分が少なくてはまらなかった。生きづらさを抱えて見栄と虚勢を張り続けた弱い男。宗教にはまるかのように男に傾倒した女。ただ、大崎の想像と死者との対話は井上靖の星と祭を、思い出した。死に意味を見いだすしか残されたものたちにはできることはないのだから。親や家族にもっと支えてもらえていれば異国でいのちを落とさなかったかもと思うと、悲しい。2018/10/21

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