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内容説明
石原裕次郎がいて、吉永小百合がいた。そして日活という映画会社があった。戦後の「坂の上の雲」―昭和三十年代の物語。
目次
序章 吉永小百合という「物語」
第1章 『キューポラのある街』以前
第2章 「私、家に帰りたくありません」
第3章 「日活的世界」の構造
第4章 高度成長前半期の時代精神
第5章 現状打破への意志
第6章 「純愛」という観念
第7章 吉永小百合の「全盛期」
第8章 「戦後」の終焉
第9章 「日活的思想」の自己否定
第10章 撮影所文化の落日
終章 「物語」の終り
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
27
ふたりの関川夏央が居るな、と思った。ひとりはここに登場する綺羅星の如きスターたちを人間的にかつホットに描写し彼らの運命に感情移入する関川。そしてもうひとりは、彼らの登場した作品や生きた時代を「ダメなものはダメ」とはっきり切り捨ててクールに分析しようとする(多分に頭でっかちな)関川。両者のせめぎあいがこの本に独自の躍動感と批評性を加えているように思う。それはまるで歴史小説・風俗小説を読んでいるかのようで、しばしばノスタルジーにまみれて美化される「戦後」とはまた違った(矢作俊彦的な?)「戦後」の姿を感じさせる2022/02/12
ごへいもち
21
面白かった。殆ど吉永小百合伝、過酷な児童労働、みんなそんな時代だつたの?2021/03/18
まさやん80
4
高度成長時代前半の世の中の動きを、日活映画の主人公であった吉永小百合と石原裕次郎(二人の共演はあまりないのだが)の映画を通じて描写する。映画にまつわるエピソードは色んな本を引用したものだが、この二人と1960年代をつないだ着眼点がお見事。「吉永小百合の映画は何故つまらないか」という導入部はうまい。日活映画が好きな(僕は小林旭派)僕としては満足の一冊。2013/11/15