出版社内容情報
30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身子なしの「負け犬」葵。性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか!?
内容説明
女の人を区別するのは女の人だ。既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。立場が違うということは、ときに女同士を決裂させる。
著者等紹介
角田光代［カクタミツヨ］
１９６７年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。９０年『幸福な遊戯』で海燕新人文学賞、９６年『まどろむ夜のＵＦＯ』で野間文芸新人賞、９８年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、９９年『キッドナップ・ツアー』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、２０００年、同作で路傍の石文学賞、２００３年『空中庭園』で婦人公論文芸賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
154
激しく心を揺さぶられる…。角田光代さんの本を読むのを始めてです。読んでいる時に、なにか自分の知らない世界がそこに有る。そして、そこに生き生きと、力強く生きて行く人たちがいるのを感じました。そして、感想を書こうと考えると、ふと思いがまとまらず、もう一度見直していたら。強く心が揺れ、不安定になっていくのにビックリします。よほど影響されています。そして自分の高校生時代を振り返り考えているのに驚きます。2006.04㈱大活字発行。字の大きさは…大活字本。2022.02.03～08音読で読了。★★★★☆2022/02/08
PSV
105
え、なに、女性ってこんなに難しいもんなの、というのが鈍感な男の感想。なんか、めんどくさいなんて言ってしまえばそれまでだし、なんか、作りすぎじゃね、と思わないでもないのだが、それでもきっとこれが現実で、少なくとも現実の一端で、女性同士の関係性って、ボクら男が考えるほど単純でも甘くもなくて、でも結局、それでも繋がってる人は繋がってるんだな、と変に納得してみた。これが角田光代の最高傑作だとは思わないけど、文章はぴか一に巧い。というか、物凄い綺麗な文章に嫉妬してしまうくらいだ。 ★★★★☆2012/06/14
R
104
今もあるだろう、女性特有の生きづらさと友情を描いた作品だったと思う。二人の女性の出会いと、それぞれの過去をオーバーラップしながら物語が進むのだけども、現在の二人の関係がとても歯がゆい、一人の女性の過去の焼き増しのような現状になっているというのに、お互いへの理解と解決が遠くてやきもきするお話だった。最終的には凄く前向きになるし、いいお話だと安心したのだけども、人との出会いとそれによる繋がり、繋がっていく様というのが人生のシーンとして身近に感じられるいい物語だった。2021/06/21
みも
87
巧みな構成。過去と現在を交互に著し、並行して推進するその先の合流点には未来への光明が待ち受ける。だから、いかに不穏な空気が漂い重苦しくとも、危うく脆く痛々しくとも読後はほっと安堵する。人間の深層が余情によって丁寧に描かれ、その息遣いは生々しい。閉塞感や如何ともし難い焦燥感と心の闇に抱えた空洞、不安に怯え慄きざらつきとひりつくような痛みを持て余す高校生時代。粘着質でありながら白黒が表裏一体の関係性は女性特有のものかも知れないが、対岸にいる人と見解が異なるのは、男女問わず人間が抱える普遍的な真理と言えようか。2019/04/07
reo
83
葵が小夜子に「私さ、子どものとき、友達ができないのは悪いことだってずっと思ってた。なーんか、そう思うことってけっこうつらいんだよね。それでね、ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気がするんだよね」小夜子は目の前でぱちんと手を叩かれたみたいに思えた。女心と秋の空…。行間の対岸には、男の僕には到底理解できない何かがあり、そこそこ辛い。辛いついでに「三時のおやつにビール飲もう。再就職祝い」葵の”男前”さに辛５進呈！2016/09/29
