内容説明
ファインマンに心酔し、自らも卓越した研究者となった著者が、物理学者としての「ファインマンさん」の業績を軸にその学者人生をわかりやすく解説する、出色の科学ノンフィクション。
目次
第1部 偉大さへの道(光、カメラ、作用;量子的な宇宙;新しい考え方;量子の国のアリス;終わりと始まり;無垢の喪失;偉大さへの道;ここより無限に;無限を馴らす;鏡におぼろに映ったもの)
第2部 宇宙の残りの部分(心の問題と問題の核心;宇宙を整理しなおす;鏡に映った像に隠されているもの;気晴らしと楽しみ・喜び;宇宙の尻尾をねじり回す;上から下まで;真実、美、そして自由)
著者等紹介
クラウス,ローレンス・M.[クラウス,ローレンスM.][Krauss,Lawrence M.]
1954年生まれ。理論物理学者としてアリゾナ州立大学“オリジンズ”プロジェクト長を務めるが、一般市民を対象にした科学教育にも熱心で、ポピュラー・サイエンスの著書も多く、先端科学のわかりやすい解説と読者の興味を巧みにそそる筆致には定評がある
吉田三知世[ヨシダミチヨ]
京都大学理学部物理系卒業。英日・日英の翻訳業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひと
6
物理の話メインのファインマン伝。今まで他の本からの汚染を受けていた私の脳は、ファインマンときけばすぐに明るく強烈な短期的集中力や局所一貫性、自己喧伝の才をイメージしてしまっていたのですが、本書に収められている本人にとってあまり愉快でなかったであろう話からは、苦悩する中途半端な凡人のような香りがして親しみが湧きました。 様々な物理の仕事についても結構なページを割いて解説してあるのですが、数式がなくずっと騙されているような感覚で、読み終わっても、結局のところなにがなされたのかを理解できたものは少なかったです。2018/04/07
Ray
5
[図書館]ラグランジュの「最小作用の原理」以降の内容は頭がついていかなかったので「そういうものかー」といった感じで読んだ。一科学者が近代物理学というものをどう変えたのかということを他伝的に伝えている。自分の中には「研究熱心な人は自分の世界に没頭してあまり人に教えるのは好きではない」みたいなちょっとしたイメージがあったけど、ファインマンは物理学の体系を新たに作り出し、“理解に至るための指針”を作り上げることで物理学を新たに学び始めた学生に洗礼を浴びせるのではなく、受け入れていたのだろう。その辺も愛される所以2012/03/23
kaizen@名古屋de朝活読書会
4
新たにファインマンへの親しみを増してくれる本。 パスツールの名言「幸運は準備のできた精神に微笑む」 が訳者あとがきにも現れている。 この本がよいのは,訳者あとがきにもあるが 「「対称性あるところ,それに対応する保存則が存在する」という二十世紀の物理学に大きな影響を及ぼしたネーターの定理を発見したエミー・ネーターが女性であるがゆえに大学入学を拒否され,辛い経験を強いられたことにさりげなく言及している。クラウスの,女性科学者への公平な立場と,過去の差別への憤りの現れなのだろうかと訳しながら感じた。」 とい2013/02/12
DK-2084
3
★★★★☆2016/05/06
だんだん
3
理系というか物理学の素養がない人間にとっては、半分くらいを占める物理学に関する説明は、1割も理解できていない。その一方で、ファインマンさんとその周辺というか、当時の物理学の雰囲気が、他の学者さんの名前とのやり取りなどを通じて伝わってきたり、ファインマンさん自身の人柄みたいなものも色々と窺い知れたので、面白かった。 2012/08/11