優雅なハリネズミ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 374p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152089632
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

自分の知性をひた隠し、アパルトマン管理人の典型を生きようとする未亡人ルネ。大人たちの世界のくだらなさに幻滅し、自殺を志願する12歳の天才少女パロマ。二人は並外れた感性と頭脳を持ちながらも、世間との係わりを拒み、自らの隠れ家にこもっていた。しかし、ミステリアスな日本人紳士オヅとの突然の出会いによって、二人の未来は大きく開かれるのだった―哲学、映画、音楽、絵画、文学、そして日本文化へ自由自在に言及しながら、パリの高級アパルトマンに住む人々の群像をユニークに描き上げ、今世紀フランス最大のベストセラーを記録した感動物語。フランスの「本屋大賞」受賞。

著者等紹介

河村真紀子[カワムラマキコ]
大阪外国語大学外国語学部フランス語科卒、フランス文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

358
最新のフランス哲学を小説という形式を用いて大いなるメタファーとして提示したような作品。主人公は2人。この2人はそれぞれに物語の語り手でもある。1人は、溢れるばかりの教養を内に秘めながら、それをけっして覚られないように、ただ黙々とアパートの管理人を続けてきたルネ。もう1人は自殺願望を持ち、過剰なばかりの才知を持て余す12歳のパロマ。そして、触媒としてこの2人の人生を大きく突き動かしてゆくオヅ。他者との違和が、心のふれ合いに静かに変容してゆく物語。じんわりと読む者の心に沁み込んでゆく。推薦!2023/07/10

シナモン

122
溢れる知性をひた隠し生活のためにパリの高級アパルトマンの管理人の仕事をする54歳の未亡人ルネと、そのアパルトマンに暮らしなんの不自由もない生活を送りながらも世の中に幻滅し自殺願望を持つ12歳の少女パロマの物語。人生の哲学みたいなものがサラッと書かれていてとても惹きつけられます。お互いが心のうちを理解しあえる存在だと気づいたときの喜び。それだけにラストの展開はショックだったけど…。人生とは儚くまた力強い。フランス版本屋大賞受賞。とても読みやすく満足の一冊でした。2023/07/27

どんぐり

71
パリの高級アパルトマンで管理人をしている未亡人ルネの日常と、そこに住んでいる12歳の天才少女パロマの日記を交互に記した小説。マルクスやデカルト、カント、トルストイを読み、マーラーの音楽を聴き、小津監督の映画≪宗方姉妹≫を観るルネは、自分の教養を押し隠し、「最下層」の愚鈍な人間を演じ続ける。一方、お金持ちの家に住む「富裕層」のパロマは、大人の世界に未来を描けずに13歳で死ぬことを決めて日記を綴る。ある日、新しく住人となった日本人のオズに、管理人は『アンア・カレニーナ』の引用文にびくつくというミスを犯してしま2016/04/17

metoo

65
2007年、フランスの書店員賞受賞。フランスではこの本を読み終えた人が知人に贈る「ギフトセラー」になった。知的で感受性豊かな高級アパルトマンの管理人ルネはその性質をハリネズミのハリのように堅固に隠してひっそりと暮らしていた。しかし6階に住む天才少女パロマと、日本人紳士オヅと出会ったことで知性が感性がハリを突き破り溢れ出す。日本への憧れを持つ著者の日本贔屓なフレーズにくすぐったい気分になりつつも、感性が同じ人に巡り会えた喜びに打ち震える感動に満たされる。2015/04/12

藤月はな(灯れ松明の火)

51
下層階級出身で溢れんばかりの知性と美的センスをひた隠す管理人ルネ。上流階級生まれだが俗物ばかりの人生に飽いて自死願望を抱くパロマ。繋がることがない筈だった彼女たちを繋いだのは、一人の紳士だった。正直、知性をひた隠しにして狭窄的な知性をひけらかす住民を蔑むルネや狭い世界でしか生きていないのに自死願望を募らせるパロマの姿勢が傲慢過ぎて嫌悪感を抱きました。しかし、ルネが過去を語り、小津さんとのロマンスで自分の本来の姿を解き放っていく姿はとても可愛らしかったです。人生は無常だが、それでも続くために歩むしかない。2016/05/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/68927
  • ご注意事項