内容説明
2020年、中国、チベット、カザフスタンに国境を接する山岳国家カルジスタンのキズルダー村では、先祖伝来の棚田を耕し、昔から変わらぬ生活を続ける人々が暮らしていた。中国系女性チュン・メイは、そんな村の女性のために、町にでかけてドレスや化粧品を調達し収入を得る“ファッション・エキスパート”だった。ある日、キズルダー村で、新システム“エア”のテスト運用が行なわれることになった。“エア”は脳内にネット環境を構築し、個々人の脳から直接アクセスを可能にする新しいネットワーク・システムで、一年後の全世界一斉導入が予定されていた。だが、テストの最中に思わぬ悲劇が起きる。メイの隣人タンおばあさんが、システムの誤動作が原因で事故死してしまったのだ。テスト中、メイは“エア”内でタンおばあさんと交感、彼女の全人生を体験する。それ以降、おばあさんの意識はメイの脳内に住みついてしまうが、まるでその代償であるかのように、メイは偶然“エア”にアクセス可能なアドレスを取得する。それをきっかけにメイの人生は急転回を見せはじめる。“エア”がメイに、そして人類にもたらすものとは…。SF界を代表する物語作家が、異質なテクノロジーと出会い、アジアの小村から世界を変えることになるひとりの女性の人生を、ストレートに描いた巨篇。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞受賞。
著者等紹介
ライマン,ジェフ[ライマン,ジェフ][Ryman,Geoff]
1951年カナダ生まれ。映画評論家として活躍するかたわら小説の執筆を始め、1976年に短篇“The Diary of the Translator”でデビュー。アジアの小国を舞台にした中篇「征たれざる国」(1984)で、世界幻想文学大賞、英国SF協会賞を受賞。一躍期待の作家として注目を集めるようになる。1985年、第一長篇であるファンタジイ“The Warrior Who Carried Life”を発表。つづくバイオSFの第二長篇“The Child Garden”(1989)は、クラーク賞とジョン・W・キャンベル記念賞を受賞する。そして1992年、日本では初の長篇紹介作となる第三長篇『夢の終わりに…』を上梓。世界幻想文学大賞の候補になり、日本の読書界でも高い評価を受けた。第四長篇253(1997)、第五長篇Lust(2001)を経て、2004年に発表された『エア』は、英国SF協会賞、クラーク賞、ティプトリー賞の主要SF三賞を受賞、21世紀初頭のSF界を代表する作品となった。現在展開中のラジカルなムーヴメント“マンデーンSF”の提唱者でもあるライマンは、まぎれもなく英米SF界を代表する作家のひとりである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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