プラチナ・ファンタジイ
エア

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  • サイズ B6判/ページ数 475p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152089229
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

2020年、中国、チベット、カザフスタンに国境を接する山岳国家カルジスタンのキズルダー村では、先祖伝来の棚田を耕し、昔から変わらぬ生活を続ける人々が暮らしていた。中国系女性チュン・メイは、そんな村の女性のために、町にでかけてドレスや化粧品を調達し収入を得る“ファッション・エキスパート”だった。ある日、キズルダー村で、新システム“エア”のテスト運用が行なわれることになった。“エア”は脳内にネット環境を構築し、個々人の脳から直接アクセスを可能にする新しいネットワーク・システムで、一年後の全世界一斉導入が予定されていた。だが、テストの最中に思わぬ悲劇が起きる。メイの隣人タンおばあさんが、システムの誤動作が原因で事故死してしまったのだ。テスト中、メイは“エア”内でタンおばあさんと交感、彼女の全人生を体験する。それ以降、おばあさんの意識はメイの脳内に住みついてしまうが、まるでその代償であるかのように、メイは偶然“エア”にアクセス可能なアドレスを取得する。それをきっかけにメイの人生は急転回を見せはじめる。“エア”がメイに、そして人類にもたらすものとは…。SF界を代表する物語作家が、異質なテクノロジーと出会い、アジアの小村から世界を変えることになるひとりの女性の人生を、ストレートに描いた巨篇。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞受賞。

著者等紹介

ライマン,ジェフ[ライマン,ジェフ][Ryman,Geoff]
1951年カナダ生まれ。映画評論家として活躍するかたわら小説の執筆を始め、1976年に短篇“The Diary of the Translator”でデビュー。アジアの小国を舞台にした中篇「征たれざる国」(1984)で、世界幻想文学大賞、英国SF協会賞を受賞。一躍期待の作家として注目を集めるようになる。1985年、第一長篇であるファンタジイ“The Warrior Who Carried Life”を発表。つづくバイオSFの第二長篇“The Child Garden”(1989)は、クラーク賞とジョン・W・キャンベル記念賞を受賞する。そして1992年、日本では初の長篇紹介作となる第三長篇『夢の終わりに…』を上梓。世界幻想文学大賞の候補になり、日本の読書界でも高い評価を受けた。第四長篇253(1997)、第五長篇Lust(2001)を経て、2004年に発表された『エア』は、英国SF協会賞、クラーク賞、ティプトリー賞の主要SF三賞を受賞、21世紀初頭のSF界を代表する作品となった。現在展開中のラジカルなムーヴメント“マンデーンSF”の提唱者でもあるライマンは、まぎれもなく英米SF界を代表する作家のひとりである(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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遥かなる想い

205
舞台は中国・チベット国境近辺の小さな村で ある。世界から取り残されたこの村と ITとを組み合わせたところに 著者の対比の 意図があるのかもしれない。 物語はSF的な展開をみせるが、 主人公メイの生き方は なぜか「大地」に 根ざした強さを感じる。 「エア」のネットワークが意味するものは 豊かさの象徴なのか? 正直 途中から 意味がわからなくなって ひどく 混乱したのだが..時空を行き来する中で メイの幸せな未来が予感できる、そんな終わり方だった。2017/05/17

ケイ

119
もはやSFの舞台は宇宙ではなく辺境の村であり、主人公も中年の女性となるのだろうか。主人公にまったく共感できず。最後に力強さを感じるのだが、それの主体となるのが、メイであるということが私には説得力が書けるように思われた。主人公が若い女性、または老女であった方が展開として面白かったのではないかと思う。2017/06/16

NAO

66
世界から切り離されたような山岳国家で行われた、頭の中にネットを構築する「エア」の実験。壮大な展開のSFのようでありながら、話の根底にあるのは、もっと現実的な問題だ。それまでは必要もなかった膨大な情報が急激になだれ込んでくることで翻弄される人々。それまでは平和に見えた村の、民族差別、宗教観の相違、妬みといった影の部分。そういった問題意識が新しすぎる設定とうまくかみ合っていないようで、とても読みにくく、疲れた。2019/04/27

キョウラン

6
しっかし読んでて怖いなあと思ったのは貧しい中国の農村でこういう人体実験とか行われてそうで怖いなあ、と。SFとホラーって相性がいいよな。最近の魔法少女まどかみたいにw結構サクサクと読めてパトリシア・コーンウェルっぽい。読みやすさ=リーダビリティは高い。なかなか面白かった。2011/11/12

kariya

6
SFMで概略のみ知っていて、翻訳されたら読みたいと思っていた本の1冊。厚みの割に、続出する障害に立ち向かい、しかも女であるがゆえに人格も権利も認められない社会で生きる主人公に引っ張られ、結末までほぼ一気読み。何かを思い出すと首を捻っていたら、昼メロの展開。エアの科学的説明がもう少し欲しかったけど、圧倒的な変化に全てを喪失した主人公が新たな生を獲得する物語、を描くにはあまり必要ない要素だったのかも。ところで、容姿に恵まれない中年女性という設定にしては、メイはモテすぎじゃないのかなあ(笑)2009/05/28

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