内容説明
孵卵器のなかでハイイロガンのヒナが孵った。小さな綿毛のかたまりのような彼女は大きな黒い目で、見守る私を見つめ返した。私がちょっと動いて話しかけたとたん、ガンのヒナも私にあいさつした。こうして彼女の最初のあいさつを「解発」してしまったばかりに、私はこのヒナに母親として認知され、彼女を育てあげるという途方もない義務を背負わされたのだが、それはなんと素晴らしく、愉しい義務だったことか…「刷り込み」理論を提唱し、動物行動学をうちたてた功績でノーベル賞を受賞したローレンツ博士が、溢れんばかりの喜びと共感をもって、研究・観察の対象にして愛すべき友である動物たちの生態を描く、永遠の名作。
目次
動物たちへの忿懣
被害をあたえぬもの―アクアリウム
水槽の中の二人の殺人犯
魚の血
永遠にかわらぬ友
ソロモンの指環
ガンの子マルティナ
なにを飼ったらいいか!
動物たちをあわれむ
忠誠は空想ならず
動物たちを笑う
モラルと武器
著者等紹介
ローレンツ,コンラート[ローレンツ,コンラート][Lorenz,Konrad Zacharias]
1903年、ウィーンに生まれる。ケーニヒスベルク大学心理学教授、マックス・プランク行動生理学研究所長などを歴任。1930年代より、魚類、鳥類を主とした動物の行動の研究を行ない、動物行動学(エソロジー)という領域を開拓した。この業績により1973年、ノーベル生理学医学賞を受賞。1989年没
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930年生まれ。東京大学理学部動物学科卒。東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学学長を経て、現在総合地球環境学研究所所長。理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
Koichiro Minematsu
けぴ
seraphim
ドナルド@灯れ松明の火