内容説明
退屈な都市から溢れた少女たちは幻想の宇宙をめざす。注目アーティストのすべてを収めた画集&コミック集。
著者等紹介
タカノ綾[タカノアヤ]
アーティスト。1976年生まれ。多摩美術大学芸術学部卒。在学中の97年個展「SHU★WA★KIMASERI」(shop33/東京)でデビュー。日本のマンガやSF小説の世界観にエロティシズムが加わって、独特のイマジネーションを紡ぎ出す彼女の世界では、少女たちが自在に飛び回り、幻想の宇宙に飛び立つ。フィーダーなどのCDジャケットやミュージックビデオへの作品提供、イッセイ・ミヤケとのコラボレーションなど、コマーシャルな世界でも活躍するが、正統な絵画、ドローイングアーティストとして人気の高い海外では、個展やグループ展への参加を通して、現代美術作家としても高い評価を受け続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
41
タカノ綾さんの絵を見ていると「なんだこりゃ」と思いつつ、泣きたいような切なさがこみあげる。痛々しいまでの優しさ、未来への渇きと憧れ。夜の街で少女たちが裸(もちろん服を着ている事もある)で運転したり、犬の散歩をしたり、空中を浮遊(落下)したり…とにかく、裸でやるってすごい事だ。まっ暗な瞳、うす赤い唇や乳首、細い手足と太い指が、全部イシを持って人間の意志の代わりをしている。というか、こっちが本物だ。ヒロシマで、裸で髪を切られている少女…皮膚が焼け爛れ内臓がはみ出しても、彼女は大切な人の死を嘆き続けているのだ。2015/11/08
どらがあんこ
11
形としては折れそうなほど彼女たちの足は細長い。しかし、そこから骨や関節の持つ窮屈さではなく、しなやかさが感じられる。足や指の先から何かが伸びてゆくように彼女たちは広がりを見せている。その質感は決して均質化されないと思う。だからこそ彼女たちは宇宙を目指すのではないか。2019/03/11
kujira
1
SF書評マンガ(まあSFでない作品もそれなりに入ってたけど)、なんかテキスト部分だけ読むとフワちゃんを想起させた。フワちゃん、ものいいは奔放だけど中身はきちんと教養高い人のそれだったりするから、語彙を明らかに平易にしてくれてたりする感が節々に感じられたりするのよね。それにしても画集にするにはこのサイズはあんまりよくない気がする。ノドに絵が巻き込まれちゃうのはよろしくないやろ……2021/02/10
かお
1
素晴らしい いつか手に入れたい2011/10/11
午後
0
なんだかよくわからない、と思いつつも、なぜだかよくわかってしまう。他の誰にも見せられない、ひとりぼっちの頭の中を覗いたような心地がした。絵が描けるって素敵なことだな。たぶん真夜中の都会を漂う少女たち。どこまでも無垢で、悪気がなくて、さみしくてきれいだ。なんとなくだけど、穂村弘の『ドライドライアイス』とあわせて読みたい。2017/01/30