内容説明
あの鳴き声が耳を離れない…忘れることを許さぬ哀しみと畏れの日々。悪夢の世界を描く10篇を収録。
著者等紹介
ランジュラン,ジョルジュ[ランジュラン,ジョルジュ][Langelaan,George]
1908‐1969。パリ生まれだが、両親も自身もイギリス人。パリとロンドンで育ち、英語とフランス語を使いこなす。大学卒業後、アメリカの新聞社に入社。第二次世界大戦ではフランス軍で戦い、戦後は情報部勤務を経験。その後ジャーナリストに戻る。1953年に『F&SF』誌フランス語版に発表され、1957年には『プレイボーイ』誌に掲載された「蝿」は「20世紀に書かれた最も恐ろしい作品」と評され、二度にわたって映画化された。他にもスパイ小説やノンフィクションの著作がある
稲葉明雄[イナバアキオ]
1934‐1999。早稲田大学卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
88
『ザ・フライ』の原作がフランス語作品とは。映画も気色悪かったが、文字で読んでもゾッとした。でも頭部があれなら、どうして人間的思考、行動ができるのだろう。映画を観た時からの疑問。語り手が第三者のように見えて、実は…という作品が多い。「御しがたい虎」はサキの「トバモリー」を連想。「安楽椅子探偵」はミステリ好きとしてはくすっ。ホラーとSFの融合。2016/10/02
たまご
25
「ハエ男の恐怖」「The Fly」両方見てたと思うんですが,映画はクリーチャーホラーだったように.でも,原作はちょっと違うんですね.むしろ,家族愛とか愛ゆえの切なさとか感じました. そのほかの短編は,ところどころ「?」と思う,私にはよくわかりにくいオチもありましたが,結構SFしていて,このシリーズの中でも異色な気がしました.2015/05/20
藤月はな(灯れ松明の火)
25
恐怖、蠅男。「奇跡」は有名になるために後遺症を利用する男に腹を立てましたが最後の最後で起きた本当の奇跡に喝采をあげました。「忘却への墜落」は「墜落」の意味にぞっとしましたが主人公が身勝手な男だったので正直、ざまあみろです。「御し難い虎」はなぜか知能を持った鮫と知能を与えた人間の戦いを描いた「ディープ・ブルー」を連想しました。「考えるロボット」は「猫を抱いて象と泳ぐ」みたいだな~。2012/11/10
太郎
8
映画を見たので原作を。逆回しでおもしろかった。せつない話ですね。2016/07/13
かとめくん
8
「蝿」かつての映画のモンスターたちの代表格は、ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物、ミイラ男、アマゾンの半漁人などだったが、その一角にいたのがハエ男だった。映画「ハエ男の恐怖」は、テレビで見ただけだがインパクトのある映画だった。これはその原作。さすがの出来だ。「「安楽椅子探偵」探偵の正体が名人芸。「考えるロボット」時代を感じさせる。自動機械と見せかけた裏には秘密が。全体的にひねりの効いた話が多く、なるほど!と唸ってしまう。この時代にこれだけの面白い話を書いていたとはすばらしいね。2010/10/07