エデンの東〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 397p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152086327
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

20世紀アメリカの最も偉大な語り部が、冷徹な筆致と壮大なスケールで描く父と子、家族、そして人間の自由の物語。時は19世紀末。厳しくも雄大な自然に囲まれた開拓地カリフォルニア州サリーナスは、限りない希望を胸に抱く人々で溢れていた。その一人、厳格な父の命で心ならずも参加した戦争に疲弊した男アダム・トラスク。美女キャシーとの結婚にみずからの幸せを見出したアダムは、妻と生まれてくる子供のために永遠の楽園を建設しようと決意し、農夫にして鍛冶屋、天才発明家でもあるサミュエル・ハミルトンに手助けを求めた。だが、キャシーを一目見たサミュエルは、彼女の冷たい眼差しと奇怪な振る舞いに気づき、その得体のしれない邪悪の影に身震いするのだった―アメリカ文学史上に燦然と輝くノーベル賞作家畢生の大作が新訳で登場。

著者等紹介

スタインベック,ジョン[スタインベック,ジョン][Steinbeck,John]
1902‐68。作家、脚本家。カリフォルニア州サリーナスに生まれる。スタンフォード大学在学中から小説家を目指す。『トティーヤ平』(’35)で一躍脚光を浴び、『二十日鼠と人間』(’37)など次々と問題作を発表した。ユートピアを求め西部へと移住する労働者家族を描き、ピュリッツァー賞を獲得した『怒りの葡萄』(’39)は一部の州で発禁となるなど賛否両論の激論を呼び、空前の大ベストセラーを記録。52年発表の『エデンの東』では、自らの一族の歴史を下敷きに、父と子の葛藤のドラマを壮大なスケールで描き上げ、著者の文学的名声を確固たるものにした。『エデンの東』第4部をベースにしたエリア・カザン監督、ジェームズ・ディーン主演の映画も名作として知られる。62年には長年の功績に対しノーベル文学賞が授与されている

土屋政雄[ツチヤマサオ]
1944‐。英米文学翻訳家。原文に忠実かつ流麗な訳文にファンが多く、作家、評論家の間でも高く評価されている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

106
三世代に渡るトラスク家の物語に著者の家族の話を組み込んだ独特の構成。上巻で特に強烈なのが得体の知れない悪意を持つキャシーの出現で、サスペンスの如く表情がめくるめく変転する様にストーリーテラーとしての手腕が光っている。また、著者の祖父サミュエルが示唆とバイタリティに富んだ導き手として描かれており、著者にとっての人間の理想像が窺える。この二人をはじめ人物造形には極端なコントラストが敷かれているが、それだけ当時のアメリカの光と影を端的に象徴しているように感じた。瑞々しい自然描写も話のスケール感とマッチしている。2018/01/27

帽子を編みます

68
何回か読んだ本ですが、新訳版は初めてです。毎晩ワクワクしながら読みました。著者が書いている通り大きな「箱」です。開けて中身を見始めると次々に物語が広がっていきます。日中もこの物語のことを思い返していました。激しい暴力、恐るべき悪、乾いた農場、力強い登場人物たち。かつて読んで忘れていたエピソードにも気づきます。上巻は双子に名前を付けるところまでです。カインの末裔はエデンの東ノドの地に住み、子孫を設けます。2021/08/23

syota

28
カインとアベルの話が下敷きとのことで、アダムと弟の確執にそれが伺えるが、上巻ではまだ宗教的色彩は薄い。登場人物の中では、何と言ってもキャシーが圧巻。冷血ぶりや爬虫類的な仕草から“楽園の蛇”あるいは“堕天使”と見るのが妥当かもしれないが、聖書に縁のない不信心者としては、人間的感情を全く欠いた行動からむしろエイリアンを連想してしまう。恐怖に彩られたダーティーヒロインとして、嫌悪の念と魅力を同時に感じさせる稀有な存在だ。カリフォルニアの雄大な自然描写も、さすがスタインベック。[G1000]2016/11/06

たらお

26
自らの一族の歴史と旧約聖書「カインとアベル」を下敷きにして書き上げた壮大な物語。「世界文学史上最高の悪女が本性を現す」こんな煽りもしっくりとくるキャシーの悪女っぷり。人は必ずといっていいほど欲望や衝動を隠しもつが、その欲望を見抜き、弱みに付け込み、巧みに操り、利用し、相手を支配する。これは怖い。通俗的な物語だからこそ、自分の心情にも当てはめ、おもしろいと思う。ページをめくる手が止まらない。スタインベック自身も私の持っているすべてを入れた箱とこの作品のことを評価しているが、そのことが十分に理解できる。 2016/08/12

mm

24
スタインベックの「怒りの葡萄」の読後印象が何年か経過してもどーんと心の底に溜まっていて消えない。文豪ってこういう作品を書く人のことを言うのかしら⁇⁇というわけで、こちらも読んでみることに。。。やはりすごいんですけど。。カインとアベルのエピソードは兄弟間コンプレクスの象徴として解釈していたけど、「拒絶されるのは辛いよね」という補助ワードをつけるとストンと腑に落ちるではありませんか。作品中にも横溢する時代を解釈しようとするスタイル、宗教的観点、女性感等々から、私は彼をアメリカのトルストイと呼ぼうと思う。2020/02/24

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