海外SFノヴェルズ
くらやみの速さはどれくらい

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  • サイズ B6判/ページ数 470p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152086037
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

近未来、医学の進歩によって自閉症は幼児のうちに治療すればなおるようになっていた。35歳のルウ・アレンデイルは、治療法が確立される前に大人になってしまった最後の世代の自閉症者だ。それでも、ルウの生活は順調だった。触感やにおいや光に敏感すぎたり、ひとの表情が読みとれなかったり、苦労は絶えなかったけれど、自閉症者のグループを雇っている製薬会社に勤め、趣味のフェンシングを楽しんでいた。だが、新任の上司クレンショウが、新しい自閉症治療の実験台になれと自閉症の社員たちに言ってきた。ルウは、治療が成功してふつうになったら、いまの自分が自分ではなくなってしまうのではないかと悩む。ルウの決断のときは迫っていた…光がどんなに速く進んでもその先にはかならず闇がある。だから、暗闇のほうが光よりも速く進むはず。そう信じているルウの運命は?自閉症者ルウの視点から見た世界の光と闇を鮮やかに描き、21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評され、2004年ネビュラ賞を受賞した感動の長篇。

著者等紹介

ムーン,エリザベス[ムーン,エリザベス][Moon,Elizabeth]
1945年、テキサス州生まれ。ライス大学で歴史を学び、海兵隊で三年間コンピュータ関係の仕事に従事する。退役後、テキサス大学で生物学を学んだ。その後、結婚した医者の夫を手伝って看護師をつとめたこともある。現在はテキサス州のフロレンスで牧場を営みながら執筆活動を続けている。1986年、短篇SFをアナログ誌に発表してデビューした。「セラノの遺産」シリーズなど、20冊以上の著作を発表している。1996年の長篇Remnant Populationでヒューゴー賞の候補となった。著者の息子が自閉症で、その経験がきっかけとなって執筆をはじめ、2003年に発表した『くらやみの速さはどのくらい』は、21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評され、ネビュラ賞を受賞した

小尾芙佐[オビフサ]
津田塾大学英文科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

魚京童!

28
どうなんだろうね。いいことなのかな。自分って一体なんなんだろうね。たぶん変わってしまった。いいことでもある。悪いことでもある。ふつうなんていない。みんな尖ってる。尖ってる部分が多いと、あるいは大きいと変わってるって言われる。合わせるしかないんだ。くらやみは光より速い。そうとも言える。動いているなら。2019/01/06

あっちゃん

27
生後すぐに治療すれば自閉症が治るという近未来、大人になってしまっている自閉症の主人公が試験的な手術をするか悩む話!アルジャーノンに比較されてるけど、私自身の読んだ歳が違うので、とても比較出来ない(笑)大人の私が読んだこの話は最後は複雑な印象をうけたなぁ(  ̄▽ ̄)2018/03/04

pulpo8

19
海外SFノヴェルズとあって、生後2年以内に治療すれば自閉症が治るという今とは違う状況が記されるが、SF味はその程度。大半は治療が可能になる前の最後の自閉症者世代であるルウの日常と葛藤と成長が描かれる。ルウの健常者とはこうだ、と考えて喋るプロセスは並みの健常者よりもずっと深淵な思考である。「(健常者は)自閉症のように振る舞う彼ら自身のほんのわずかな部分を補うことのできる特別なものを持っている。ぼくはそれが欲しいのだ」と言うキャメロンの言葉が胸に響く。前のように今の自分であることを望んだルウ。それが寂しい。2017/10/21

あたびー

17
自閉症を治療する方法が発見された近未来。胎児から治療を始める事で完全な自閉症者は新規に現れず、暴力的な犯罪行為はチップを埋め込むことで回避される世界。子供の頃に治療を受けられなかったルゥは製薬会社で働いている。専横的な上司から治療の被験者になるかクビかを押付けられる。ルゥの日常、思考、感情がきめ細やかに描かれ、私達は自閉症者の中から世の中を見ることができる。ルゥは果たして治療を受けるか?それは読んでみてください。結末についての感想は様々に分かれると思います。2019/01/15

Yuichiro Komiya

16
自閉症の患者が自閉症を治す手術をすると、今までとは違う人格になるのか?もし自分が明日から物の見方や考え方が変わるとしたら、自分がいなくなってしまうと思って怖くなるだろう。しかし手術をしなくても、僕らは常に変化している。とても魅力的な人と知り合ったり、事故にあって大怪我をしたり、生きていくたびに考え方や嗜好は変わっていくが、それでも自分が別人になったとは思わない。それは単に昔の記憶を無くしていないからなのか?主人公は最後まで悩むが、彼の悩みと決断には深く感銘を受けた。2017/12/31

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