内容説明
近未来、医学の進歩によって自閉症は幼児のうちに治療すればなおるようになっていた。35歳のルウ・アレンデイルは、治療法が確立される前に大人になってしまった最後の世代の自閉症者だ。それでも、ルウの生活は順調だった。触感やにおいや光に敏感すぎたり、ひとの表情が読みとれなかったり、苦労は絶えなかったけれど、自閉症者のグループを雇っている製薬会社に勤め、趣味のフェンシングを楽しんでいた。だが、新任の上司クレンショウが、新しい自閉症治療の実験台になれと自閉症の社員たちに言ってきた。ルウは、治療が成功してふつうになったら、いまの自分が自分ではなくなってしまうのではないかと悩む。ルウの決断のときは迫っていた…光がどんなに速く進んでもその先にはかならず闇がある。だから、暗闇のほうが光よりも速く進むはず。そう信じているルウの運命は?自閉症者ルウの視点から見た世界の光と闇を鮮やかに描き、21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評され、2004年ネビュラ賞を受賞した感動の長篇。
著者等紹介
ムーン,エリザベス[ムーン,エリザベス][Moon,Elizabeth]
1945年、テキサス州生まれ。ライス大学で歴史を学び、海兵隊で三年間コンピュータ関係の仕事に従事する。退役後、テキサス大学で生物学を学んだ。その後、結婚した医者の夫を手伝って看護師をつとめたこともある。現在はテキサス州のフロレンスで牧場を営みながら執筆活動を続けている。1986年、短篇SFをアナログ誌に発表してデビューした。「セラノの遺産」シリーズなど、20冊以上の著作を発表している。1996年の長篇Remnant Populationでヒューゴー賞の候補となった。著者の息子が自閉症で、その経験がきっかけとなって執筆をはじめ、2003年に発表した『くらやみの速さはどのくらい』は、21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評され、ネビュラ賞を受賞した
小尾芙佐[オビフサ]
津田塾大学英文科卒、英米文学翻訳家
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