内容説明
巨匠の暖かいまなざしが紡ぎだす優しいけれどほろ苦い笑いと涙の人生模様23篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みずうみ
1
ヴォネガット2冊目。ヘルムホルツ先生の出てくる作品が読みたくて手にとったら、予想外にたくさん出てきた。…ちょっとヘルムホルツ先生の印象変わった(笑)こんな浮世離れした人だったのか~。リンカーン高校シリーズは「セルマに捧げる歌」が一番好き。作風が多彩なので、この本の中でも作品によって好き嫌いはあるけど、皮肉が効いていて温かみもある感じ、良いな。次は長編読んでみよう。2015/05/09
amanon
1
二段組みで四百頁近くあるかなりの大部であるにも拘わらず、一つ一つのストーリーの持つ魅力にひかれて、頁数を殆ど気にすることなくさくさく読めた。表紙を和田誠氏が手掛けたこともあってか、皮肉でシニカルな落ちで締めくくられるストーリーが少なからずあるところは、つい星新一のショート・ショートをつい連想してしまった。本書で特に印象的だったのは、リンカーン高等学校の音楽部(要するにブラスバンド部)部を舞台としたヘルムホルツ先生を巡る幾つかのストーリー。先生と音楽部の生徒とのやり取りは何とも言えないペーソスがある。2011/07/04
umeboshi7
0
(図書館で借りた本) ★★★★☆ 短編集でほとんど作者30代に書かれたもの。どれも本当に良い作品。最初と最後に収められた作者自身に関するエッセイも良かった。SF作家と括られるのを嫌がってたのも解る気がする。ヴォネガットの文章や視点のベースが、こういうSFではない短編に判りやすく在った。リンカーン高校のヘルムホルツ先生が出てくる作品が三本あって嬉しい。ヘイリー教頭とのやり取りが好き。ヴォネガット作品には「悲しみを理解している人が書くユーモア」というものを感じる。だから辛辣なところがあっても優しさを感じる。2019/07/07