内容説明
大蔵省銀行局の紀村隆之は、大蔵大臣の失言があった翌日、突然官房長に呼び出され、主計局への異動を言い渡される。異動を隠れ蓑に、「蔵相失言事件」を仕組んだ犯人を調査しろというのだ。しかし、紀村に許された時間はあまりにも少なかった。一両日中には、失言に端を発した金融パニックへの対応案が政府から発表になる。その前に犯人をつきとめ、犯行の目的を明らかにしなければならない。残された証拠から犯人を特定することは無理だと判断した紀村は、反対に動機面から事件を探っていく。だが、これほどの金融パニックを引き起こして、いったい誰が得をするというのか?やがて事件の裏に、謎の人物による経済クーデター計画が浮かび上がるが―膨大な情報と最新の政治・経済理論を駆使して描く、空前の金融経済ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴリゾウ
2
すべては大蔵大臣の失言が発端だった。国会の予算委員会において、蔵相の瑞田が、かねてより経営難が噂されていた日本不動産金融銀行の状態が「極めて危険なレベルに達しつつある」と発言したのだ。議場は騒然とし、記者たちはニュースを社へ報ずべく出口へ殺到する-まさしく<昭和金融恐慌>の再現だった。『カバー』#874-2/榊東行(さかき・とうこう)1999/04/07
Kimikazu Sawada
2
文才のある官僚ってイヤやな…2013/11/01
まー
1
A1998/10/03
ふゆ
1
登場人物たちの説明的すぎる台詞とか、地の文で作者の思考を書き過ぎなとことか、文章が上手とは言い難い。(居眠りの部分だけ異様に力が入ってるのは良いw) でも、大蔵省→国会の文書の流れとか、尤度関数のグラフを1ページ使って載せるとか、複雑系科学に対する純粋な期待とかは良い。 ちょっと、京極夏彦の「絡新婦の理」に似ている。2015/12/27
み
1
大蔵省舞台のミステリー。読んだらもっと賢くなろうと思った。僕の考え方は「犯人」に近かった気がする。2013/12/30