内容説明
脳障害がもたらす創造的な力。常識をくつがえす患者たちの驚くべき世界を報告し、全米ベストセラーとなった、医学エッセイの最高傑作。
目次
色覚異常の画家
最後のヒッピー
トゥレット症候群の外科医
「見えて」いても「見えない」
夢の風景
神童たち
火星の人類学者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
99
≪2021年 色に繋がる本読書会≫参加中 精神医学の本です。 事故で色が無くなった画家やトュレット症候群で飛び跳ねながらも手術では優秀な外科医。自閉症の生物学者、など7人が登場。 色に関する話は画家の。彼は黒白の絵で評価されるようになったそうです。2021/01/25
Speyside
21
脳神経医が7人の不思議な症状を持った患者との交流を綴ったエッセイ。事故で突然色覚を失ってしまった画家や、記憶が過去に閉じ込められてしまった青年、常に動かずにはいられないチック症状がありながら執刀する外科医や、全盲から40年ぶりに視力を取り戻した男性など、どの症例もとても興味深い。病気や障害はなんらかの欠落と捉えてしまいがちだが、本書に示されているように、限定された知覚を逆に活用して健常者には生み出せない芸術や仕事上の成果を上げている例などを知ると、健常も障害も単なる個性の違い程度の差なのではと思えてくる。2020/12/23
roughfractus02
6
事故でモノクロ世界でしか見えなくなって爆弾のように昇る太陽を描く画家、脳腫瘍で60年代で時間が止まった最後のヒッピー、トゥレット症候群の外科医、急に視力が戻った50才の男、病後故郷の夢を見続けて過去の故郷ばかり描く画家、13才の非凡な自閉症の画家、動物と心を通わせるのに人間とはできず自分を火星の人類学者と呼ぶ女性動物学者・・・脳科学の歴史と知見を差し挟みつつ脳障害を持つ7人との対話を記す著者は、世界の見え方の違いを越えて世界の在り方の違いを物語風に示し、一つの世界という読者に根付く観念自身を問いを投げる。2018/03/02
Hwee Rim
6
読めば読むほど人間ってやっぱりよくできていると思った。不思議で人間についてもっと知りたくなる本。2016/01/28
Junya Akiba
3
脳神経に障害をもつ7人の物語だが、本書ではその患者たちの、ある意味障害を持つことで獲得した特異な能力が紹介されている。中でも表題作の自閉症で有りながらそれを自身で理解し、動物学で博士号を取得したコロラド州立大学准教授のテンプル・グランディンの話は患者?の立場から見たコメントが興味深い。動物の心はわかるのに人間の事は分からない。だからこそ、自分は「火星の人類学者」なのだと。理路整然と論理的に考える彼女たちから見ると、むしろ我々が患者なのかも知れない。2016/11/23