内容説明
『シーラという子』の続篇。「あんたは自分があたしの人生をよくしたと思ってるんでしょ?あんたのおかげでよけい悪くなったんだよ。うんとうんと、何百万倍も悪くなったんだよ!」情緒障害児教室の教師をやめてセラピストとなった著者トリイが目の前にしているのは、髪を派手なオレンジ色に染めた14歳のパンク少女だった。八方手をつくして探し、7年ぶりにようやく再会したシーラは、かつてふたりのあいだに築いた信頼関係や教室での楽しかった日々などまったく憶えていないという。彼女が少しでも打ち解けてくれることを願い、夏休みの間だけ精神科クリニックで手伝いをしてくれるように誘った。やがてシーラの口から、まだ7歳にも満たないころから連日のように受けていた性的虐待の事実が明るみに…真の癒しを見出すまでのシーラとトリイの葛藤を描いた感動のノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茜
110
シーラが7年という歳月の間にどんな子供に育ったのだろうと思い描きながら読みました。シーラは髪を派手なオレンジ色に染めた14歳のパンク少女に変わっていた。そして、7歳にも満たないころから連日のように受けていた性的虐待の事実が明るみになります。ああ、なんて酷い事。。。そんな事があればシーラが変わってしまうのも無理はないよ。。。巻末でのシーラからトリイに宛てられた手紙で「いろいろなことがうまくいくようになってきました。」その文章を読んでシーラが幸せになるようにと願わずにはいられませんでした。2021/04/30
みゃーこ
46
シーラのその後に最初は少しがっかりした。一作目が感動的な終焉だったため。だがその分リアリティがある。現実に情緒障害を抱えた子供と向き合うことはそうおとぎ話のように簡単にはいかないはずだから。彼女の言うように一度面倒を見たら最後まで見ないとみなかったのと同じになるという「星の王子様」のキツネが言った言葉が象徴的で忘れられず、そちらも読んでみたら、抽象的だった絵が一連のストーリーとして絵のように浮かび上がって来て彼女の中にある寂しさも空虚さも底なしのブラックホールのように口をあけていて容易に救いがたいと感じる2015/05/11
もくたつ(目標達成)
19
シーラは、酷い環境の中で育ったけど、人の助けを借りながらその中を生き抜いた、タイガーのような子だった。最後の詩に、現在の彼女の情緒が安定したものであることが表れていた。2015/10/31
ネロ
18
実話。母親に高速道路で捨てられ6歳で殺人未遂を犯し虐待され続け里親や施設をたらい回しにされながら過去と闘い続ける少女シーラと教師トリイ。『シーラという子』から10年ほど経って書かれたトリイとシーラのその後が綴られる。「どうかシーラには幸せになって欲しい!」と前作を読み終え願っていた自分ですが、ページを捲るたび本書は実話であり現実は物語の様に綺麗にいかないものだと痛感させられました。 それにしても、その辛い実話を非常に読みやすく物語の様に回憶録できる著者の筆力はなんなんだろうか?と不思議に思うばかり。2023/02/01
ピカ
17
シーラのその後が読めて、喜んでいたのもつかの間、次第に空白の5年間が明らかになっていく。成長したシーラは魅力的だったけれど、危うさが残っているのに、それまでの環境が影響しているのかと思うと……。最後、トリイのことを思い出すことが少なくなったというのはさびしいけれど、シーラがきちんと自立して親離れならぬトリイ離れができたということなんだなあ。ノンフィクションものはあまり読まないけど、トリイさんは別。他の作品も読みたい。2013/12/14