内容説明
２８世紀、人類は二百にのぼる惑星を転移網で結び連邦を形成していた。その辺境に位置する惑星ハイペリオンで、人びとの畏怖と信仰を集める遺跡〈時間の墓標〉と怪物シュライク。この謎を解明すべく、迫りくる宇宙の蛮族アウスターの脅威のもと、最後の巡礼七人が惑星を訪れた。その途上で語られる、それぞれが背負う数奇な宿命とは…。１９９０年度ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
67
「時間の墓標」に向かう巡礼たちが語る６つの話は、『カンタベリー物語』へのオマージュであるとともに、文体・内容ともにいろんなタイプの物語を並べたものでもある。一つ一つがそれぞれ異なる話だが、実は一つの世界をそれぞれ別の立場から語ったものであり、これから起きるのであろう壮大な出来事の序章となっている。これはもう、『ハイペリオンの没落』を読むしかないではないか。司祭の話はあまりにもグロテスクで苦手。哀しくも美しい学者の話が一番好みだった。2018/01/04
syota
37
ハードカバー2段組500ページ超という分量、しかもぎっしり濃密な内容。これだけ時間をかけ根を詰めて読んだのに話はまったく収束せず、続きは続編で、というのはあんまりだ…ものすごく面白いから途中で止めるわけにもいかないし。おかげで、併読中の正岡子規はこの数日まったく手付かず(^_^;) 戦前のスペース・オペラから始まるアメリカSFの王道を行く、壮大な宇宙冒険物語で、先行する様々な作品の要素を取り入れたショーウインドウ的側面もあり、SFの醍醐味をたっぷり堪能できる。SF好きにはたまらない良質の娯楽小説だ。2018/09/16
猿吉君
34
海外ＳＦ初心者→中級者へ行くときに通る道的な本、再読しました。①訳者が好きなせいもあるのですが翻訳物としては非常に読みやすいです。②途中で出てくる詩はとりあえずは理解しないでも大丈夫。③登場人物によって作風を変えて表現するところが素晴らしい！④続編というよりも下巻という意味合いの「没落」があるのでかなり長い間ワールドに浸れます。点数：95/100→引っ越しで断捨離してもこれだけは手元に残しておいた超お奨め本です（＾ｕ＾）2020/06/21
里馬
29
文字通り圧巻。今まで読んだ本の中で二番目に好き。圧巻、という言葉に対して、なんだか色んな物語を凝縮させた様なイメージを持っているんだけど正にそれ。っていうかはみ出してる程だ。.漏れ出す興奮をこれからも追い求めて行きたいと思うし、様々な元ネタが解らず口惜しい。2009/07/04
NOVE
9
ぐえー。おもしれー。圧倒のボリュームで表紙を開いたときは怯んだが、神父の話に入ったらすぐ没頭できた。人類の窮地に挑む寄せ集めのパーティーが、道中で自己紹介し合っていく“だけの”入子構造ストーリー。1冊で6冊読んだような重量感。お得。未完であることすら計算と想像できる憎い演出。チキショウ。惜しむべくは続編を手元に用意せず読みはじめてしまったことか。こんな脳髄が痺れる読書があと3冊も続くと思うと、嬉しくもあり恐ろしくもあるね。やっぱ名作って言われる本には理由があるわ。2019/02/13
