内容説明
1928年、サンフランシスコ。ピンカートン探偵社を辞め、作家として糊口をしのいでいるダシール・ハメットのもとに昔の同僚がやってきた。腐敗した市政浄化のための調査に力を貸してほしいというのだが、その直後、彼は無残な死体となって発見される。はたして街を牛耳るギャングの仕業か?旧友殺しの犯人探しに乗り出したハメットの前に、やがて妖しい女の影が…伝説の作家を探偵役に据えたファン垂涎のハードボイルド。
著者等紹介
ゴアズ,ジョー[ゴアズ,ジョー][Gores,Joe]
1931年ミネソタ州生まれ。スタンフォード大学で文学修士を取得。運転手、ホテルの受付、英語教師など様々な職業を経たのち、12年間にわたって私立探偵として活動。1969年のデビュー作『野獣の血』でMWA賞最優秀新人賞を、短篇「さらば故郷」で同最優秀短篇賞を同時受賞。また後年、同最優秀TVエピソード賞も受賞している。MWA賞で三部門を受賞しているのはゴアズとドナルド・E・ウェストレイクのみ
稲葉明雄[イナバアキオ]
1934年生、早稲田大学仏文科卒、1999年没、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hit4papa
40
ハードボイルド作家ダシール・ハメットを主役に据えたミステリ。ピンカートン探偵事務所を辞め、作家に転身した頃のお話し(フィクション)。元同僚の死の真相を探るべく、探偵たちの力を借りて、腐敗した街に切り込んでいきます。暴力沙汰あり、怪しげな美女?あり、孤高のプライドを垣間見せるシーンありと、まんまハードボイルドのフォーマット。ハメットの、人間的な弱さもありながら、いざとなったらルール無用のストイックさを発揮する姿が良いです。ハメットの作品を読み込んでいるなら、愉しめるワードが散りばめられているように思います。2023/08/25
そのあとに続く
4
20世紀に大きな影響を与えたハードボイルドを産んだハメットへのオマージュ。禁酒法下のアメリカ、サンフランシスコで元ピンカートン社の同僚から持ち込まれた依頼にこころならずも引き込まれる元探偵。事件の核心に近づきつつも、安易な感傷に落ちることはない。ハメットの著作に言及する遊び心もあり、実在の人物をモデルにした難しさはあるものの楽しめた。2012/08/20
東森久利斗
3
絶対観たい、観ずに死ねるか、映画版ハメット。ヴェンダース監督、コッポラ製作総指揮、夢のコラボレーション。レンタルも配信もされてない、ソフトを買うしか手がないのか! 誰か何とかして…。サンフランシスコの裏社会、欲、裏切り、憎悪、生存本能が渦巻く複雑な人間模様、したたかに生きる人間の息遣い。2023/05/26
遥かなる想い
3
作家ハメットを 探偵として 甦らせ、ハードボイルドの 主役に するという 設定は、確かにファンにとっては たまらないだろうが 純粋なハードボイルドとして 読むと まあ 普通ぐらいな気がする。 私自身、ハードボイルドとなると どうしても 主役の 描写で 好き・きらいが 決まってしまうので、ストーリー自体を 楽しめない という 傾向に 陥りがちのようである。2004/01/01
はげ太郎
1
巨匠ハメットが主人公。味のある展開でなかなかのカッコよさ。 2014/03/27